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業界変化に対応 横のつながりが必要
2014年4月28日
実運送事業者同士の提携による業務の合理化や、その構想が進んでいる。実車率をできるだけ高める効率化の手段として、ある場面では、「荷主」として振る舞うことが求められる元請けの実運送事業者が、運賃コスト上昇を抑制する手段としてなど、さまざまな業務提携が考えられている。従来は、無尽蔵に供給されると考えられていたドライバーが不足してきており、業界構造が変化しつつあることが見て取れる。
兵庫県中部の高速道路のICから数キロ離れたところにある、化学メーカーの工場。道を1本隔てたところにあるのが、この化学メーカーの製品輸送を担う運送会社A社だ。「タッチ・アンド・ゴーというネーミングはどうでしょう」。数年前、A社を引き継いだ若手社長は、アイデアをまとめながら目を輝かせた。原材料を積んで工場に入ってきたトラックが数時間後、またその工場から製品を積んで出ていく。飛行機が着陸すると同時に離陸する操縦訓練にも似たことからイメージした名前だ。社長によると、遠方から原材料を積んできたトラックは通常、帰り荷を求めて京阪神へ。その距離だけでもおよそ100?。社長は、「この人手不足の時代に空車だけで100?も走ることの異常さ。労働時間管理にも悪影響を及ぼすはず」と話している。
A社自身、労働時間管理にこの数年間悩まされてきた。大型車による長距離便も多いが、協力会社を利用するなどしてなんとか「Gマーク」も確保している状況だ。社長は法の枠組みを真剣に検討し、タッチ・アンド・ゴーの発想に至った。
タッチ・アンド・ゴーの形は、業界でも意外なほど使われていない。ある食品メーカーの物流を元請けの立場で担う運送会社の経営者は、「そもそも発想すらなかった」と赤裸々に答える。A社社長はさっそく、工場に入ってくるトラックの所属をチェックし始めた。今後、電話連絡するなどして、協力を仰ぐ予定という。
社長は、「工場を出るとすぐにウチの会社の車庫と休憩所があるので、ドライバーに安心して休んでもらえる。ウチのような地理的条件が整った会社同士だけでも、こうした構想を広めていきたい」と話す。
同じ近畿地方にある、トラック10台前後の運送B社。金属加工の荷主などから一手に出荷貨物を預かり、方面別、ロット別に仕分ける。小ロット化が進むなか、昨年暮れごろから重大な案件が契約のある特積み事業者から「燃料サーチャージ分を頂きたい」と持ちかけられていた。
今年に入ってからは、別の契約事業者から同じ要請があった。特積み事業者は小ロット貨物を遠方へ配達するのに欠かせない存在。荷主からマージンを引かずに流す運賃だけでも月間数百万円になり、燃料サーチャージを満額認めれば約3割の値上げになる。B社の努力だけではどうにもならない額だ。そこで模索しているのが、遠方のパートナー企業だ。従来、特積み業者が行ってきた事業範囲をカバーできる業者が求められていると、社長は話す。
また、別の運送会社経営者も、「特積みが担ってきた配達機能がなくなりつつあり、区域会社の横のつながりがこれまで以上に求められる」と話す。
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