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    受動喫煙の防止努力義務化 喫煙率高い運送業界 各社の対応は

    2014年10月22日

     
     
     

    tabako_1020.jpg あるトラック運送事業者が、業界について「運送会社は社内・社外にかかわらず、どこでもタバコを吸っている。業界のイメージがあまり良くないのは、こういうところに表れているのかもしれない」と指摘する。一般的に喫煙率が高いといわれる運送業界だが、かつて受動喫煙にまつわる訴訟が起こった例や、受動喫煙防止の努力義務化が来年6月までに施行されるなど、これまで真剣に考えられていなかった喫煙に関して、今後の対応が求められてくる。



     平成24年の労働者健康状況調査によると、事業所規模が小さいほど、受動喫煙を受けている労働者の割合は高い傾向にある。敷地内全面禁煙と屋内全面禁煙(屋外喫煙可)を合わせた全面禁煙を望む労働者は実に43%もいる。多くの運送事業者で話を聞くと、喫煙スペースの境界線が曖昧だった。トラックでの喫煙は、荷物への臭い移りもあってか、荷主などから禁煙の要求があり、減っているようにも見えるが、事務所内では当たり前のように喫煙している。

     しかし、労働者の安全と健康の確保対策の充実のため、「労働安全衛生法の一部を改正する法律」が今年6月25日に公布され、受動喫煙防止の努力義務化が来年6月までに施行される予定。化学物質に過敏に反応する人はタバコの煙やにおいで頭痛、吐き気などを催すという。事務所スペースの都合上、分煙は難しいという場合は、「空気清浄機などを使用し、こまめに換気するなど、吸う人も吸わない人も快適に仕事が出来る環境の整備が必要なのではないか」という社長もいた。

     中小企業が一定の要件を満たす喫煙室の設置や、受動喫煙を防止するための換気に必要な設備設置に経費を、一部助成してもらえる制度がある(厚労省HP参照)。上限200万円まで助成されるので、装置設置などの際に活用してみるのもいいだろう。

     過去には他業種だが、受動喫煙にまつわる訴訟もあった。製造会社に勤める男性は、従業員の半数以上が自分の席で喫煙をしている環境で、入社5か月目に「急性受動喫煙症」を発症し、上司に分煙対策を要求した。男性の相談を受けた労基署が同社の受動喫煙を指導したが、会社側は男性に対し退職か配置転換を受け入れるように命じ、男性がどちらも拒否すると「やむをえない」と解雇されたというケースだ。

     その後、男性は不当解雇として会社に慰謝料などの支払いを求め、会社側が男性に数百万円を支払うことで和解した、という事例もあった。一方で、大阪市西淀川区の事業者は、健康面から会社での喫煙をやめさせている。知り合いの社長が肺がんになったことをきっかけに、社内で改めて禁煙を呼びかけている。「何よりも健康第一だと感じた。社員の約半数が喫煙者で、家族のため、そして何より自分のために今一度、体を大事にしてほしいと伝えた」という。

     この事業者が参考にしたのが、総合リゾート運営会社の星野リゾートだ。同社は企業競争力と社員の健康の面から、社員全員が禁煙者を目指し、喫煙者は採用されない。喫煙者であっても、入社後に禁煙をすることを誓約しなければ、採用試験を受けることはできないという。

     だが、このような意見もあった。「当社でタバコを吸わないのは一人だけ。いろんな業界で分煙がすすんでいるのは分かるが、なぜその一人にほかの全員が合わせなければならないのかと思う。面接の時に喫煙OKの会社だと気づかない本人の責任なのでは。仮に分煙をしたら、その人が喫煙者ににらまれて会社に居づらくなるだけ。この環境が嫌なら退職すればいい」と、辛口の意見もあるのは確かだ。

     長時間、トラックという狭い空間で仕事をするドライバーにとって、喫煙は一種の息抜きであり、ストレス発散のツールともいえる。しかし、会社の敷地内での喫煙には、非喫煙者に対し配慮する必要がある。今後、各社で対策を講じていかなければならない。

     
     
     
     
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