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期待を裏切る配車マン 荷主奪われ売り上げ1000万円ダウンへ
2014年11月19日
運送会社において、顧客の直接窓口となる配車マンは重要なポストであり、配車マンをいかに育てるかが事業発展の大きなカギを握っているとも言える。しかし、その配車マンを失うことによる損害も、それだけに大きい。運送業界では、配車マンが顧客を持って退社してしまうというトラブルが後を絶たないのも実情で、結局は事業者側が泣き寝入りすることがほとんどのようだ。
東京都内の事業者では2年前、同業他社で配車を手掛けていたという配車マンを採用した。同社社長によると、それなりに経験を積んできた人材だったのである程度のネットワークも持っており、利幅は少なかったが売り上げも毎月1000万円をキープしていたという。さらに、「お金に困った際に前払いで工面するなど、配車マンに最大限の配慮をしていた」と話す。しかし今年9月、「自分で挑戦してみたい」と取扱事業者として独立する意思を伝えてきた。会社としては売り上げが減少するなどの影響が必至だったが、当初は「本人の希望を尊重して独立を応援してやろうとしていた」という。しかし先月末、退社して独立するや否や聞いていた話とは違う話が同社長の耳に飛び込んできた。取扱専業者として個人で独立すると聞いていたが、実際は、同業他社の支援を受けていたのだ。つまり、同社を捨てて他社に乗り移ったということになる。
そうした事実を取引先から確認した同社長は、「考えるだけで腹立たしい。うちで働いていた頃に、すでに同業他社と水面下で話を進めていたという事実が許せない。裏切られた気持ちでいっぱいだ」とこぼす。「売り上げ目標などで厳しいことを言ったりもしてきたが、それだけで逃げられると、もう何もできない」と打ち明ける。配車マンは当然、自身で開拓した同社の荷主をそのまま連れて出ていった。それにより、同社は毎月1000万円の売り上げを失ってしまった。
「利幅が薄かったというが、それでも売り上げ減は正直痛い」と本音を漏らす。その上で、裏切られたことへの対価として損害賠償を請求することも視野に入れているという。「費用対効果を考えると、どうしても出足が鈍くなる」のが本音のようだが、勝つ見込みがあるのであれば、「訴えることも検討していく」と話している。
労働問題に詳しい向井法律事務所の向井蘭弁護士によると、「営業権の問題で、運送会社に限らず、いろんな業界でよくあるケースだ」とした上で、「恩をあだで返されたということに理解はできるが、証拠がほとんどなく、立証が難しい。仮に訴えたとしても事業者側が負けてしまう」と指摘。さらに、「辞めた配車マンが荷主を連れていったとしても、あくまで選ぶのは荷主側にある。裁判では仕事を失った会社が荷主から選ばれなかっただけ、という見方をされる可能性も高い」という。
同弁護士によれば、どのような事情があるにせよ、余程の証拠が出ない限り、今回のケースのような場合には事業者側が泣き寝入りするしかないのが実情のようだ。日ごろから配車マンとコミュニケーションをとるなど、裏切らない配車マンを育てていくことが、会社を守る上で必要な対策だといえるようだ。
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