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射界
2016年4月4日号 射界
2016年4月8日
いま再び「志の復権」が取り沙汰されている。「志」とは、自らが立てた目標の実現に向かって強い意志を確立することを意味する。簡単に言えば、目的意識を持つことだが、人はとかく惰性に流れて確たる目的意識もないままに過ごそうとする傾向がある。これでは「舵を失った小舟」と同じで流れに任すだけに終わる。
▲目を産業界の現状に移そう。そこには産業界の底辺でうごめく数限りない小規模企業群がある。規模の大小を問わず、それなりの「志」をもって目標の実現に躍動する姿を見るものの現状は、時代の流れに翻弄されて苦難の道を余儀なくされている。「舵を失った小舟」同然に、容赦なく打ち寄せる大波の中で呻吟しているのが実態だ。それでも「志」の実現に向けて懸命に努力している。▲「志」の実現に向けて努力するエネルギーは「勤勉」だ。「志」は実現してこそ意味があり、「志」を声高に唱えているだけでは画餅に等しい。「志」は「勤勉」の裏付けがあって確立されるのだが、時代の変化は価値観の多様化をもたらし、「勤勉」の在り様にも違いが見られるように至った。昔から日本人は「勤勉」な国民と称せられてきたが、それにも陰りが見られるのが現実である。
▲確かに「働くだけが能ではない。楽しみなくして何の人生ぞや」との考えもあるが、楽しみは「志」に基づく「勤勉」があってこそ、その存在意義がある。仕事を放りだして楽しみだけを求めても、楽しく暮らし続けるのは不可能であろう。「勤勉」に裏付けされた「志」の実現に向け新しい価値観を確立すべきときが来たと理解したい。「志の復権」も、その意味で再認識すれば意義がある。
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