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射界
2017年4月24日号 射界
2017年4月28日
洋の東西を問わず、古典として今に読み継がれている著作は多い。改めて熟読すれば名言・名句や箴言に出合い、なるほどと首肯できるから興味深い。企業経営者が座右の銘とする言葉も、それら古典に由来するものがある。時代を超えて現代に通用する一文が、混迷する現代に通用する実践的で示唆に富む魅力を秘める。
▲この流れを踏まえて今、日本アスペン研究所(東京)が主宰する「エグゼクティブ・セミナー」が盛況だ。デカルトやカント、福沢諭吉などの古典を経営者らが聴講する。もともと米シカゴ大学のロバート・ハッチン氏が、学問や仕事が細分化する?瑣末化(さまつか)?現象に疑念を持って創設した組織で、1998年に我が国にも同様趣旨で設立した一種の研究施設である。▲ここに言う「瑣末化」とは、会社の業務が複雑かつ高度化するのに伴い、専門家が重視される傾向にあるが、会社全体の利益を優先しなければならない経営者は、専門家である必要はなく、複雑な将来像を見通すことが大事で、難しい時代を多面的に、かつ冷静に見つめる能力を持つことの大切さを説き、それには「教養」をつけるべきだとし、それを古典から学んで教養をつけよとしたのだ。
▲例えば、中国古典の『孫子』に、「彼を知り己を知れば、百戦して殆(あや)うからず」とあるが、一部に曲解して「彼を知る」ことのみに集中して「己を知る」を怠ることがある。経営者たるには、その愚に陥ることなく、先を見通して的確な判断を下すだけの教養を積むことが大事で、そのためには東西の古典を精読し、広い視点から教養を積むのが先決と教えていることを悟りたい。
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