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警告1回で「赤信号」か 大口・多頻度割引の規制強化で
2017年8月18日
4月に始まった「車両制限令の違反にともなう大口・多頻度割引のペナルティー強化」が高速道路の共同利用事業を手掛ける協同組合を震撼させるなか、道路各社が先に受け付けを開始した「違反点数の通知制度」が関係者らにとって新たな悩みとなっている。組合員に付与された違反点数を把握できるという意味ではプラス材料なのは間違いないが、その制度を活用するには組合員から同意書を取るのが前提。「郵送だと内容を理解してもらえない可能性もあり、とりあえずリスクのある組合員(運送会社)から優先的に説明に回っている」と異業種組合の関係者は話す。
道路会社が「違反抑止に向けた指導強化の一助」として、利用を希望する組合(契約者)を対象に受け付けを始めたのは所属組合員および、新しく組合に加入する予定の法人・個人に付与された車限令違反にともなう累積点数を知らせる制度。個人情報でもあるために利用するには対象となる組合員の同意書が必要で、「契約者が2年間に3回の『警告』を受けた場合、契約者のカード全部に割引の停止措置を講じる」とされるなど、強化された車限令違反のペナルティーが深刻なだけに現在、同意書を集めるのに奔走している組合も少なくない様子。特定の組合員による車限令違反で組合全体が大きなダメージを受けるのを防ぐには、できるだけ早い段階で違反の実態を把握する必要がある。これまで運送会社から組合事務局に車限令違反がリアルタイムに報告されるケースは多くなかっただけに通知制度はメリットとなるのは確かだが、一部では違反点数が付与される時期と通知時期とのタイムラグを不安がる声も聞かれる。
道路会社によれば、初回は「原則として、申請書を受領した月の前月までに付与された違反点数を含んだ累積点数を組合員別に記載し、受領月の翌月末までに契約者(組合)あてに通知」されるため、例えば受領月が6月であれば5月末までに付与された違反点数を含む累積点数が7月末までに届く格好。翌月以降は毎月、月末までに道路会社で確認が取れた累積点が通知されるという仕組みだが、「車両は毎日動いており、一度に10点以上となるような違反もある」と、通知を受けた時点で違反点数が上乗せされている可能性がゼロとはいえない事情があるからだ。
「組合のカード全部が割引停止になるのは2年間に3回の警告を受けた場合であり、そう対応を急がなくても…と話す関係者もいるが、一つ目の警告となった組合員が割引停止の期間中に10点の車限令違反を犯せば、その時点で組合全体が1か月の割引停止になるという別のルール(関連記事参照)もあるわけで、要は1回の警告も出させない覚悟が必要」と話すのは岡山県に事務所を構える組合の幹部。同氏の組合では6月に入り、すべての運送会社を対象に同意書の収集を始めた。今後は細かな規則を明文化したうえ、「ETCコーポレートカードの返納、さらに場合によっては組合脱退までを盛り込む必要があると考えている」という。
一方、メリットであるはずの通知制度ができたことで今後、新しく組合に加入してコーポレートカードが使えるまでに要する時間が大幅に長くなる可能性もある。組合員として受け入れるには、まず事前にリスクを調べるための同意書をもらい、その内容を見てから正式に組合加入の手続きを取ったうえでコーポレートカードを申請し、発行を待って利用開始という流れになると予想される。
また、ドライバー不足が深刻化するなかで「従来はトラックしか持たなかった運送会社がトレーラの仕事を新しく始めたり、トラックやトレーラなどの大型車両を一切保有していなかった企業が購入するケースも見られるから注意が必要」と異業種組合の幹部。高速利用を増やすことが、労働時間を短縮する限られた手段となるトラック事業者にとって悩ましい状況が続いている。
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