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物流ニュース
北海道 増える貨客混載事例、先を見据えた取り組み
2018年1月24日
【北海道】道では昨年からおよそ1年半の間に、道運輸局をはじめ物流・交通事業者、自治体などが連携した「貨客混載」の取り組み事例が相次いでいる。
昨年7月にヤマト運輸と札幌通運が士別軌道、名士バスとともに士別市、名寄市、下川町などで宅配貨物を路線バスに積載する事業をはじめたのを皮切りに、8月にヤマト運輸と十勝バスが足寄町、陸別町などを対象に同様の運行を実施。
11月には佐川急便と旭川中央ハイヤーが乗り合いタクシーによる貨客混載を旭川市でスタート。タクシーのトランクルームに鍵付きの荷物ボックスを設置し、タクシーの運転者が宅配貨物を個人宅などに届ける国内初の取り組みとなった。
12月10日から1週間、国交省による「中山間地域における道の駅などを拠点とした自動運転サービス」の一環で、 道の駅コスモール大樹で自動走行バスを活用した貨客混載の実証実験を行う。
また、来年1月から士別市で、市街地の商業施設で買物後の荷物を自宅に配送するサービスの一部に貨客混載バスを利用する実証実験を開始する。貨客混載バスのスキームを活用した買物支援サービスも国内初。
これら貨客混載の個々の事例はいずれも営利事業として見ると、決して大きなボリュームではない。物流・交通事業者の収支の改善や、ドライバー不足緩和の面での影響は限定的とはいえ、面積が広く、人口減少・過疎化・高齢化の進展が早い北海道だからこそ、「地域の物流・交通ネットワークの維持」「持続可能な生活環境の維持」のため求められている社会貢献的な側面が強い。
貨客混載に取り組んでいる旭川中央ハイヤーの柏葉健一社長は「小さな輸送ルートでの貨客混載だが、道が抱える問題を大きく変えると考える」と話し、旭川運輸支局の佐々木求支局長も「小さな取り組みだが、大きく育てることが広大な過疎地かかえる北海道では重要。5年、10年先に『やっていてよかった』と評価されると信じている」と捉えている。
物流事業者でも「過疎地域での送迎などにトラックを活用する」事業を現実的に検討している事業者も出始めており、今後、道内で様々な形態での貨客混載の事例が増えることは確実といえる。とりわけ過疎地域では「貨客混載車によって生活が支えられる」ということになるかもしれない。
(日時表記等は「物流ウィークリー」紙面掲載時のものとなります)
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