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  • ブログ・川﨑 依邦

    労働審判・全面勝利体験報告(11)争点に関する重要な事実及び証拠

    2010年7月29日

     
     
     

     第3の争点に関する重要な事実及び証拠

     相手方においては午前6時出社、午後6時退社が基本的なパターンであることは、配車日報および配置転換の辞令(甲第298号証)から窺うことができ、記憶に基づくとはいえ事実とさほど乖離してはいない。



     なお、相手方においてこの点に異議があるのであれば、欠落している配車日報を提出していただきたい。配車日報でなくともよい。会社として適正な賃金計算をする意思があるのならば,何かしら計算の基礎となる資料を保管しているはずである。

     第4の争点に関する重要な事実及び証拠

     事実については第6に記載の通り。陳述書(甲第301号証)、辞令(甲第298号証)、業務内容一覧表(甲第299号証)を証拠として提出。

     第8 当事者間においてなされた交渉、その他申し立てに至る経緯の概要など

     申立人は内容証明郵便にて請求を行った(甲第302号証)が、相手方は合意書の存在を理由に支払わなかった(甲第303号証)。任意に割増賃金全額を支払えば不法行為については問わないつもりであったが、相手方には誠意のかけらも感じられないので本申し立てに及んだ。

     なお、本件においては形式的には申立人自らが退職を申し出たものの、第6の1および陳述書に記載の通り、実質的には会社の恣意による解雇であるから、相手方からの内容証明郵便末尾の「7月分と8月分の給与(中略)支払いは実行しています」との記載は労働基準法第20条の趣旨からして当然のことにすぎない。(申立書より)

     中小運送業の現実からして、配車管理者に時間外手当を支払えということになると、経営は保たない。月額給与に時間外手当を含んで払っている現実がある。

     ところが、訴えられるとどうなるか。管理者の定義に照らし、はっきりと管理者であると言い切れるか、心もとない現実がある。にもかかわらず、配車管理者が時間外手当の未払いを払えと訴えてくることはない。今回が初めてではあるまいか。

     「名ばかり管理者」であると訴えてくることは稀でも現実はどうか。現実は、もし訴えられるとしたら、中小運送会社は負ける可能性が大きい。「うちの会社は大丈夫だろうか」と胸に手を当ててみることである。

     今回は証拠によって申立人の主張を退けて全面勝利した。極めて稀なケースであると自負している。

     
     
     
     
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  • 筆者紹介

    川﨑 依邦

    経営コンサルタント
    早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
    63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
    中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
    グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。

    株式会社シーエムオー
    http://www.cmo-co.com

     
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