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ブログ・川﨑 依邦
労働審判・全面勝利体験報告(16)見当違いの「怒り」
2010年9月8日
そんな状況が一変したきっかけは、あるドライバーが過去において免停期間中、1か月以上にわたって無免許のまま業務に従事していたことが発覚し、その社員の処遇が議題となった平成21年7月初めごろの会議でした。半年間の減給と賞与のカットでよしとする社長と、解雇するべきとする私の間で意見が合わず口論となりました。
しかし、私は単に意見を求められただけで決定権はないので、結論的には社長の案で処分されることになりました。私は、私の良識に基づいて自分の意見を言ったまでですし、その場では社長にも今後に尾を引くような素振りはありませんでしたが、後で常務(川崎晃弘)に聞いたところによると、私の態度が気に入らないと言っていたそうです。それからほどなく、私に7月16日付で配置転換の辞令がありました。同21日から、配車リーダーをやめて現場管理リーダーとなるように、との内容でした。同時に渡された業務内容の表を見ると、現場管理リーダーの業務は、営業を主たる目的とするものであり、それまで事務所内部で行っていた事務配車リーダーとは全く性質が異なり、かつ私にとって未経験の業務ばかりでしたし、量的にも1日でこなしきれるものとは思えないほど膨大なものでした。
そのとき直感的に思ったのは、これは先だっての会議において、社長に口答えしたことに対する報復人事ではないかということです(申立人の陳述書より)
訴えられる方も大変であるが訴える方も大変である。このような陳述ストーリーをまとめるのは簡単ではない。それこそ一心不乱にまとめたに違いない。
このような訴える側のエネルギーはどこから出てくるのか。ただ単に金が欲しいだけであろうか。後日、人づてに聞いたところによると、申立人はサラ金に借金があったという。したがって金がノドから手が出るほど欲しいとは推測できる。しかし、それだけであろうか。
筆者は経営コンサルタントとして数々の労務トラブルに直面し、解決してきた。一つは訴える人間のタイプがある。さらに訴える側なりの悔しさや怒りがある。こうした経営コンサルティングの経験に照らすと、申立人にも怒りがあったと思われる。もちろん筆者にとっては場違い、見当違いも甚だしい「怒り」ではある。とはいうものの、申立人のようなタイプが持つ「怒り」をしっかり見抜けなかったということはある。教訓として胸に刻んでおく。
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筆者紹介
川﨑 依邦
経営コンサルタント
早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。
株式会社シーエムオー
http://www.cmo-co.com -
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