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ブログ・川﨑 依邦
労働審判・全面勝利体験報告(19)見てきたような嘘
2010年9月28日
「退職後しばらくは、何が正しくて何が誤りなのか悩み、ろくに眠れませんでしたし、情けないことかもしれませんが、精神的に不安定にもなりました。妻までが私と一緒に悩み苦しみました。さらに、退職後に詳細に調査すると、自分はいわゆる『名ばかり管理職』であり、実際は370万円もの割増賃金が未払いになっていることがわかりました」
「そのとき頭に浮かんだのは、社長や常務の言っていた『ドライバーなんて募集をかければいくらでも集まる。代わりはいくらでもいるのだから、指示に従わない人間はどんどんクビにすればいい』『ドライバーは安く使えればそれでいい』『このドライバーはあと1年で定年だから、その後は安く使えるだろう』などの、労働者を軽視する発言の数々でした」「彼らは要するに、従業員を使い捨ての駒としてしかみておらず、違法な長時間労働で搾取し、気に入らないことがあると過酷な状況に追い込んで退職に追い込み、会社都合退職とすることをエサに合意書にサインさせることで残業代の支払いを諦めさせる、というサイクルを今後もずっと繰り返していくつもりではないかと思いました」
「今は自分の人を見る目のなさと法律の無知を恥じるとともに、いいように使い捨てられたことに激しい憤りを感じています。思い出すと情けなくて涙がにじむこともあります。彼らには自らの非を認め、支払うべきものは支払っていただきたいし、なにより私と私の家族に誠意をもって謝罪してもらいたいと思います」(申立人の陳述書より)
見てきたような嘘をつくとあるが、申立人は文字通り見てきたような嘘を書き連ねている。「労働者を軽視する発言の数々」と羅列してあることが嘘である。申立人は、そもそも人事異動にあたって「決意文」を書いている。無理やり泣く泣く人事異動を受け入れたのではない。
「しっかりがんばります」という旨を具体的に「決意文」に書いてある。更に退職にあたっては「合意書」にサインしている。一切の債権・債務はないと合意書でしっかり確認している。割増賃金の未払いはないことを確認している。
それでも370万円の割増賃金と人事異動によるパワハラで150万円、合計約520万円を請求してくる。なぜか。それは、金がないの一言に尽きるかもしれない。申立人はかつて労働組合の書記長をしており、その際は2年分の割増賃金を勝ち取っている。その時の成功体験が忘れられないのか。申立人は本当に「会社のために働いた」と思っているのか。
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筆者紹介
川﨑 依邦
経営コンサルタント
早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。
株式会社シーエムオー
http://www.cmo-co.com -
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