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ブログ・川﨑 依邦
労働審判・全面勝利体験報告(27)架空話を突き崩す答弁書
2010年11月24日
翌日午前6時過ぎに申立人は相手方に出勤し、同7時30分から8時までの間に各運転者に配車指示を行う。8時ごろには配車が完了し、各運転者の業務が開始するため、申立人は、朝食をとるため8時から8時45分ごろまで外出する。
その際には、特に川?常務らの許可を得ることはない。また、8時45分から荷主から注文の入る午後4時ごろまでの間は、申立人は運転者や荷主からの急な連絡などに備えて、相手方事務所内に待機しているものの、自由にできる時間があったので、申立人が子どものことなど家庭の事情や歯医者に行くなどの事情で、遅刻、一時外出、早退することは欠勤届などの記載を要せず、自由に行われており(甲145、甲148、163、甲166、乙7)、そのような一時外出、早退あるいは欠勤などが、川?社長や川?常務らによって許可されないということは全くなかった。また、申立人については、出退勤簿の記載は必要なく、終業時に配車日報を提出するだけでよく(甲9等)、その配車日報についても、早退などを行っている時には作成されないときもあった。
なお、この配車日報については会社の所有する財産であるが、申立人が在職当時の配車日報の綴りが見当たらないため、申立人が所持しているのであれば、これを速やかに返還するよう求める。
また配車日報中、存在しない日のものは申立人が早退したことにより、作成されていないものと推認される。
要するに申立人については、労働時間について裁量権を有しており、厳格な労働時間としての管理はなされていなかったものである。
これに対して、運転者については運転日報にタコ・チャート(自動車に登載される運行記録)を添付させ、厳密に出勤時刻と退社時刻の管理を行い、時間外労働時間の計算を行っていたものである(乙8)。
また、休暇・欠勤についても、それぞれ適式の届け出が必要とされていた(乙9、乙10)。申立人については、このような管理が行われていなかったのであるから、この点からも、一般の従業員とは異なり、労働時間についての裁量権を有していたことが明らかである。(答弁書より)
申立人の都合のいいように、架空のストーリーに基づいて申立書は作成されている。こうしたストーリーを答弁書は一つずつ突き崩している。答弁書は「名ばかりの管理職」ではなく、管理者としての権限を持って仕事をしていたことを証拠に基づいて明らかにしている。
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筆者紹介
川﨑 依邦
経営コンサルタント
早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。
株式会社シーエムオー
http://www.cmo-co.com -
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