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ブログ・川﨑 依邦
労働審判・全面勝利体験報告(29)法の力で鉄槌を
2010年12月8日
「以上のとおり、相手方については一般の従業員に比し、その地位と権限にふさわしい賃金上の処遇を与えられていたものである。
エ 以上のほか、申立人に対しては配車リーダーになった際に、一般の従業員と異なり管理職となるため時間外手当が付かないこと、それに代わって運転者と比較して優遇した賃金内容となっていることについては説明されており、申立人もそれについては十分に納得していたものであり、配車リーダーとして在職中に相手方に対して、時間外労働手当を要求したことはなかった。また貨物運送業において、申立人が従事していたような配車リーダーの仕事は経営内容、労務管理などに携わる重要な職責であって、同業他社においても一般に管理・監督者とされているところである(乙19)。
さらに、申立人は、昌和運輸株式会社で運転者として従事していた際においては、労働組合の書記長を務めており、その際に他の従業員に対する時間外労働手当に関する合意書を労組と会社との間で締結したことがあり、時間外労働手当に関する知識も十分に有していたものと認められる。
オ 以上のことから申立人が管理・監督者に該当することは明白であって、そもそも相手方は時間外労働手当の支払義務を負わないのであり、申立人の主張は失当である。(答弁書より)」
率直に言って、一度味を占めると繰り返すということがある。申立人のここに至るまでの背景には、以前に労働組合の書記長をしていたことがある。その際、会社と交渉して時間外手当の未払いを指摘し、多額の時間外手当の未払い分を勝ち取ったことがある。
今回も「夢よ、もう一度」とばかりに訴えてきたものと推測する。そもそも筆者が経営している運送会社は、車両台数15台の小企業である。こうした小企業の経営者を苦しめて一体何になるのか。
経営者には労災もない。時には急に穴をあけたドライバーの代わりに自らハンドルを握る経営者もいる。小企業の経営者は法律によって守られていない。常に倒産リスクと向かい合って日々格闘している。
申立人はことあるごとに、うそぶいていたと聞く。「俺にもしものことがあったら、こんな会社いつでも潰したる」。この言葉がもし本当だとしたら、労働者という身分にふんぞり返り、あぐらをかいていたとしかいいようがない。何としても鉄槌を法の力によってくださねばならないと筆者は強く決意した。
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筆者紹介
川﨑 依邦
経営コンサルタント
早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。
株式会社シーエムオー
http://www.cmo-co.com -
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