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ブログ・川﨑 依邦
労働審判・全面勝利体験報告(31)ドライバーを不公平に扱う
2011年1月21日
(2)人事異動について合理的な理由があること
ア 申立人の配車リーダーとしての職務内容に問題があったこと
従業員の無免許運転といった不祥事をきっかけにして、相手方においては、社内の管理体制を強化する方針が打ち立てられた。申立人については、配車リーダーとして、かねてから業務姿勢に問題があり、平成21年7月7日付で業務姿勢を改めるよう指示をしている。
申立人については、例えば、勤務中にネットオークションで私物を購入したり、幹部会議の内容を特定のドライバーの○○氏(以下「A氏」という)に漏らしたり、A氏について他のドライバーとの間で不公平な取り扱いをして、A氏を不正に優遇して多くの売り上げを上げさせるなどの問題行為が認められた(乙20、31)。このように、申立人がA氏を優遇した理由については、以下のような経緯があった。もともと申立人は、川?社長が経営を引き継ぐ前の相手方の前身の昌和運輸において、労働組合の書記長をしていたが、組合内部で意見が衝突し、平成19年10月ごろ、労働組合を脱退した。
脱退した際に、申立人とともに組合を辞めたのが、当時副委員長であったA氏である。意見の対立については、36協定の締結を巡って労使が合意せず、会社側は組合員に時間外労働をさせなかったところ、そのために組合員の賃料が通常と比較して30─40%も下がったことによる。そこで、会社側と早急に妥協して36協定を締結しようと申立人及びA氏が主張したが、組合の多数意見とはならずに、脱退することになった。
こうして、一緒に脱退したメンバーとして、申立人及びA氏は他の組合員から孤立し、互いにあいさつはおろか、口もきかない状態になったが、そのため申立人とA氏の結束は深まったものである。そして、申立人が配車リーダーとなってからは、A氏に幹部会議のこと(相手方の経営情報など)をすぐさまメールなどで伝えたり、A氏に売り上げの上がるような不公平な配車をしていたものである。
このように、A氏を不正に優遇しているということについては、他のドライバーの不満の元になっていた。(答弁書より)
中小運送会社の経営者はギリギリのところで身を削って働いている。粉骨砕身である。その上、労使の争いごとは、大きなストレスを経営者にもたらし、体調を崩す経営者もいる。このような労使紛争はないに越したことはない。
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筆者紹介
川﨑 依邦
経営コンサルタント
早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。
株式会社シーエムオー
http://www.cmo-co.com -
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