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  • ブログ・川﨑 依邦

    一人でも入れる労働組合がやってきた(1)突然の訪問に血の気が引く

    2011年6月17日

     
     
     

     労働組合加入通知書がA社長に突き付けられた。同時に団体交渉の申入書も手渡された。「何のことか」とA社長はびっくりする。見知らぬ男性数人と我が社の代表社員一人が「社長はいますか」と訪ねてくる。



     「私たちは○○労働組合です」「御社に○○分会が結成されました」「団体交渉の申入書です」。これが噂に聞く○○労働組合かとA社長は血の気が引く。体が奥深いところでガタガタくる。「今日のところはこれで帰ります」と引き上げていく労働組合のメンバーを茫然と見送るA社長。

     A社は車両台数約20台、社員は25人(パート含む)の中小運送会社である。A社長は叩き上げで30年前に裸一貫、車1台からスタートして、幾多の景気の波に翻弄されつつも生き延びてきた。自分の会社は自分の体と一緒である。一心同体で会社をやりくりしてきた。

     経理はA社長の奥さん。従って夫婦喧嘩もよくする。公私一体なので、景気が良い時はそれほど喧嘩も激しくない。反対に景気が悪い時は資金繰りのことでもめる。「こんな会社辞めてしまえ」と、一歩も引かず奥さんも攻めてくる。A社長60歳、今でも大型トラックにドライバーの欠員(急にドライバーが欠勤するなどの事情)があれば、自らハンドルを握る。

     普通の会社の社長のように、ネクタイを締めて社長室にいるといったスタイルではない。いつも作業服である。たまに業界の会合などで外出する時にネクタイを締めることがある程度だ。しかも、いつ、いかなる時でも携帯電話を手放すことはない。寝る時も枕元に置いてある。サウナに入る時でも、さすがにサウナ中、携帯電話を手元に置くことはないが、サウナを出るとすぐに携帯電話の着信を確認し、手元に置く。「いつも携帯電話とともにあるのが俺の人生だ」がA社長の言葉である。

     A社は長距離運行もあり、深夜に仕事をするので1日・24時間、気を抜くことができない。いかなる事態があってもすぐに対応できるように携帯電話を手放さないわけである。

     そこへ一人でも入れる労働組合がやってきた。A社長の知り合いである運送会社の社長は○○労働組合ともめて会社を潰した。中には自殺にまで追い込まれた知り合いの社長もいる。労働組合加入通知書と団体交渉申入書を手に持ったまま、愕然とするA社長。分会長○○、書記長○○、会計○○などと、我が社の従業員5人の名前が書いてある。全従業員25人のうち5人が○○労働組合に加入したことになる。

     
     
     
     
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  • 筆者紹介

    川﨑 依邦

    経営コンサルタント
    早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
    63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
    中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
    グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。

    株式会社シーエムオー
    http://www.cmo-co.com

     
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