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  • ブログ・川﨑 依邦

    一人でも入れる労働組合がやってきた(26)「戦闘性」が動揺誘う

    2011年12月16日

     
     
     

     A社長の不退転の決意が分会員の分裂を引き起こしたわけである。更にどうして分会員が1人となったのか。



     ?1人でも入れる労働組合の戦闘性

     A社に結成された「1人でも入れる労働組合」は戦闘性がある。幾多の労働争議の修羅場をくぐり抜けている。上部団体のメンバーは歴戦の勇士がそろっている。街宣車でがなりたてるぐらい屁でもない。いつものことである。

     会社に組合員を動員して乗り込むことも何でもない。会社側が慌てて警察を呼んでも堂々と対応する。動員人数は数十人が普通である。荷主にも責めのぼる。労働組合としての力を見せつけ、会社に圧力をかけてくる。中小企業の経営者はへなへなとなる。

     ところが、この戦闘性が分会員の動揺を誘い分裂へと誘う。元々、分会員が労働組合へ加入した動機は、労働争議をしようと思っているわけではない。「社長に反省してもらいたい」「交通事故のペナルティ金額がきつい。もっと安くできないか」「上から目線の配車担当者をギャフンと言わせたい」といった動機がきっかけである。

     ところが、フタを開けてみるとえらいことになる。1人でも入れる労働組合の戦闘性である。ビビってしまう分会員が出てくる。「労働争議をやめなさい。社長が言うことを聞かなければ社長の自宅に押し掛けることも辞さない」といった組合員ばかりではない。

     その上、労働組合の政治活動がある。デモや集会に誘われる。学習会もある。行きつくところは、「政治を変えよう」となる。元々の労働組合の加入動機からかけ離れてしまう。1人でも入れる労働組合の戦闘性、政治性についていけなくなる。このことが分裂を誘うのだ。

         

     かくしてA社の嵐は過ぎ去った。A社長はいよいよ経営改革への道を歩まんとする。

     目の前に1人の分会員がいる。労働基準監督署からの「是正勧告書」もある。運輸支局からの「改善指示書」もある。確かに嵐は収まったが、目の前のことを解決していくことである。経営改革への取り組みを本格化させねばならない。

     「確かに就業規則や給与規定では飯を食えないと思っていましたが、そういうわけにもいきませんね」
     「ドライバーとのコミュニケーションをもっと取れる体制が必要ですね」
     「経営を黒字にしていくための経営管理体制を確立することですね」

     A社長の言葉である。

     
     
     
     
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  • 筆者紹介

    川﨑 依邦

    経営コンサルタント
    早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
    63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
    中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
    グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。

    株式会社シーエムオー
    http://www.cmo-co.com

     
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