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ブログ・川﨑 依邦
経営再生物語(6)経営改善計画作成に着手
2013年5月10日
経営再生は国家の方針である。「中小企業は潰れてしまえ」では国策に沿っていない。雇用を確保し、地域社会に根付いている中小企業は、経営再生すべきというのが国策である。ただし条件がある。経営改善できるかどうかである。
経営改善の第一歩は、経常収支がプラスになることである。経常収入・荷主の売り上げから、経常支出・燃料代や高速代、修繕費などの運送原価・ドライバーの労務費・販管費などを引いてプラスになることだ。また、プラスになるための経営改善策が実現する可能性が高いかどうか、過剰債務状態が10年で解消できる経営改善計画となっているかである。過剰債務とは、借入金÷キャッシュフロー額が20年以内であるかどうかである。キャッシュフローとは、減価償却費プラス税引き後の利益の合計額で、さらに、債務超過が5年で解消するかどうかである。実際は5年では短いので10年で債務超過が解消できるかどうかである。分度という言葉がある。分をわきまえてその範囲内で身を処することをいう。経常収支がプラスになることが、まず分度の第一歩である。A社長は逆転の発想をしている。債務超過をし、A社長の役員報酬は限りなくゼロに近い。その上、私財まで会社に投入している。銀行の借金を返済するのに精いっぱいの日々。銀行にひれ伏し、奴隷の如くである。
まず、経常収支をプラスにする。銀行の支払いは金利のみにして元金返済を停止する。逆転を更にひっくり返していく。これは経営再生のいろはであり、国策である。A社長は気力が萎えている。「このままいったらどうなるか。できたらやめたい」「やめたいけれど従業員がいる」「自己破産してもいいが荷主に迷惑がかかる」これではA社の前途は暗い。
勇気を振り絞って経営改善計画を作成し、なんとしても銀行に理解を求める。A社長の迫力は必ず銀行に通じると念ずる。心の変革がピンチをチャンスに変えていく。ピンチに直面すると力が湧いてくるものである。火事場の馬鹿力とはよくいったものだ。A社長は経営改善計画の作成に取り組むこととする。
項目は?経営改善に向けた今後の努力目標(基本方針)?経営改善に向けた今後の努力目標(項目別)?収支計画?金融機関別借入金明細表?資金繰り表である。
次回から経営改善計画(骨子)の内容を紹介する。
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筆者紹介
川﨑 依邦
経営コンサルタント
早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。
株式会社シーエムオー
http://www.cmo-co.com -
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