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ブログ・川﨑 依邦
経営再生物語(120)経営活性化シリーズ69
2016年7月29日
(69)「一日一生」=毎日の収支を把握する
運送業は在庫がきかない。何日分をまとめて行くことはできない。一日一日が勝負である。まさに「一日一生」、一日一日に全力を尽くすのが運送業の本質である。
運送業の日々は慌ただしい。一日が終わるとホッとする。「今日はクレーム・トラブルがなくて良かったなぁ」。こんな日ばかりでないこともある。クレーム・トラブルに振り回される日もある。
そこで、どうしても抜けることがある。経営数字の把握だ。一日の出来事を数字で語ることができない。今日一日の運送売り上げはどうであったか。1台当たり、1人当たりのドライバーの売り上げはどうであったか。このように日々売り上げを掴む運送業は多くない。少数派である。直感で「今日は忙しかったなぁ。バタバタしたよ。車が足りなくて右往左往したよ」と述べるばかり。「数字はどうでしたか」と問われて即答できる経営者・配車担当者は少数派である。まして、目標と実績との差についての把握となると、さらに少数派である。
一日当たりの経費の把握はどうか。今日の走行距離は〇??なので燃費はいくら、有料代はいくら、車に関わる経費となると、皆目分かっていない運送会社が多い。運送収入から直接原価を引いて、いくらの粗利益があったのか。一日単位で把握していない運送会社は珍しくない。経営数字の面から言うと、成り行き、行きあたりばったりというのが運送会社の現実である。一日当たりのドライバーの人件費はいくらかかったのか。運送収入–直接原価(燃料費・有料代・車両経費)–ドライバーの人件費=直接利益を出しているか。ましてや目標対比となると雲を掴むようなものである。これでは運送業を経営しているとは言えない。経営の第一歩は日々収支の把握である。日々収支をもとに、赤字なら赤字の原因分析をし、すぐに対策を取ること。目標数字とのギャップを見据えて対策を取ること。
一日一日を大切に生き抜くということは、経営数字の把握と分析にある。日々収支ルールに基づいて経営することである。「しんどい、つらい」と述べることよりも、「数字で語る文化」を創りあげていくこと=運送業の経営活性化のキーポイントである。毎日の収支を把握していくこと。運送業は受身型である。「数字、数字と言っても荷主の腹ひとつ。どうしようもないよ」と投げ出してはならない。数字で語る文化を創ることで荷主との交渉力が鍛えられていく。 -
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筆者紹介
川﨑 依邦
経営コンサルタント
早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。
株式会社シーエムオー
http://www.cmo-co.com -
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