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ブログ・川﨑 依邦
経営再生物語(124)経営活性化シリーズ73
2016年9月2日
(73)「鬼業仏心の経営」=精進の道
「鬼業仏心の経営」とは何か。鬼と仏の両方の心を持って経営することである。鬼の心ではナアナアで済まさない。叱るべき時は鬼の心でビシッと叱る。いくら注意しても一向に改善されない者や事故多発者には、時には退職を勧告する激しさ=鬼となる。
一方、仏心とは働く者の気持ちを分かり労わっていく。鬼と仏の心をバランス良くすることで、経営活性化は成し遂げられていく。雨と太陽の恵みで花や野菜、木等は育っていくが如く鬼=雨、仏=太陽のバランスが大切である。
そのためには精神の道を進むことである。精神とは仏教の言葉である。「悪行を断じ善行を修める心の作用。雑会を去り一心に仏道を修めて懈怠せぬこと」(「広辞苑」より)仏道に関わらず、一生懸命に努力することを精進と言う。誰にも負けない努力を一心にやり続けること=精進である。
運送業の現場は鬼業仏心の姿勢、心を堅持して精進することが経営活性化の核心である。運送業の現場をつらい、苦しい、逃げたいと後向きにとらえないことである。発想転換である。仕事について「時間を提供して金を得る」とばかり考えない。この仕事の中こそ精進と捉えて悟りに至る。悟りとは仏教の言語である。苦しいことやつらいことに真摯に立ち向かい、精進することで人間性を高めていく=悟りである。
そのためには、鬼と仏の心のバランスが大切である。怠けたいとかごまかしたいとか逃げようとする心に対して鬼となる。一方、優しさを持って接していく。苦労を分かち合って一緒に涙するときはする。仏の心である。
五輪書(宮本武蔵作)云く「一命を捨てる時は道具を残さず役に立てたきものなり。道具を役に立てず、腰に納めて死する事、本意に有るべからず」。命を放り出して立ち向かう以上、己の持っている武器から衣装に至るまですべて残らず役に立てよう工夫せよ。宮本武蔵の言葉である。トコトンまで命のある限り精進せよとの教えである。「もうダメだ」と思ったところから、さらにひと踏ん張りせよとの教えである。道具を残すなとは、あらゆる手段を尽くせとの教えである。
そのためには、鬼になるときはためらわず鬼になることである。そして仏にもなることである。常に土壇場に立っているという危機感こそが、企業と人を成長させていくバネとなる。言い換えれば鬼業仏心=バネである。一心不乱に努力し続けていくことが鬼業仏心の経営である。 -
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筆者紹介
川﨑 依邦
経営コンサルタント
早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。
株式会社シーエムオー
http://www.cmo-co.com -
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