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  • ブログ・川﨑 依邦

    経営再生物語(166)トップのコミュニケーション〈事例A〉

    2017年8月24日

     
     
     

    〈苦あれば楽あり実践〉


     A社のトップはEQ(心の知能指数)が高いのである。倉庫作業で深夜に及ぶ日々が続くと、現場を巡回して倉庫のリーダーに一声掛ける。「ご苦労さん。これで、温かいものでも皆に振る舞ってほしい」と、ポケットマネーで2万、3万円手渡す。受け取ったリーダーは一瞬、ポカンとするが、「ありがとうございます」と奮い立つ。大きな荷主開拓に成功した社員にも、ポンと現金を渡す。「よくやったね」――お金の渡し方が絶妙である。人情の機微に深く通じているのである。

     A社の新年会は盛大である。ホテルで行う。参加者全員にお土産がある。芸能人もくる。ここぞと、日ごろの働きに対して報いるのである。家族も招待される。

     参加者はみんなうれしく、楽しそうである。満面に笑みをたたえるトップ。「苦あれば楽あり」といったコトバが自然に出てくる。

     カリスマ性とは、メンバーにとっては心服するシンボルである。頼りになる存在である。心で結びつく。金の切れ目が縁の切れ目とはならないところがある。

     A社のトップは、会社行事の節目、節目では社員と溶け合うが、日常は一歩距離を置いている。公平であるためである。創業期は毎日のように酒を飲んだりしてたが、今は公平を保つために、距離を置いている。全メンバーと等しく付き合い、酒を飲んだりすることは、今となっては不可能だからだ。どうしても偏ってしまうからだ。この姿勢がカリスマ性にも磨きを掛けている。

     共感性とは相手の立場、心が読みとれるということだ。乗務員が1年間事故ゼロを達成すれば、報奨金を渡しながら、目に涙すらうっすら浮かべて、ともに喜ぶ。事故を起こしてガックリしている乗務員を励ます。そのためにも、日ごろはやかましく注意し続けている。励ますとは、失敗してしょげ返っている時に、もう一度チャレンジしていく気持ちを起こさせることだ。

     自制力とは、目標のためには、我慢する力のことだ。衝動や激情に身を任せることなく、グッと耐えていく力のことだ。

     
     
     
     
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  • 筆者紹介

    川﨑 依邦

    経営コンサルタント
    早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
    63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
    中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
    グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。

    株式会社シーエムオー
    http://www.cmo-co.com

     
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