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ブログ・川﨑 依邦
経営再生物語(179)ゆでガエルになるな〈事例A〉
2017年11月24日
〈側近の苦悩〉
B氏は60歳。創業者に育てられた。自らの辞書には「イエス」しかなかった。「ノー」はなかった。創業者のいうことには何でも「ハイ」でやってきた。厳しい創業者であった。今でも思い出すことがある。真冬のことである。荷主の仕事で大きなミスをしでかし、それを報告しなかったことがある。「わしはミスを怒っているのではない。報告しなかったことを怒っているんだ。頭を冷やせ」と頭から水をぶっかけられたことがある。ブルッとした感覚を今でも覚えている。それでもついていったのは創業者の人柄である。厳しい半面、優しいところもあった。荷主の都合でなかなか仕事が終わらず、夜を超えて朝までかかったことがある。創業者も寝ずにつきあってくれた。早朝のこと、「いやあ、こんなことしかできなくてゴメンよ。コーヒー入れたよ」と一人ひとりに早朝のコーヒーを配ってくれたのも創業者である。
B氏はつくづく思う。「いくらすばらしい父親でも、孫となると全く似ていないものだ」。孫とはA氏のことである。B氏は側近として悩む。肝心のA氏が出社して来ないのである。「三代目でつぶす」ことがあるというのもうなづける。このままでは大変である。B氏は今まで「はい」1本でやってきた。補佐役は主人に仕えるのが使命で、自分で考え、自分で判断して決断してはならない―と固く信じてきた。ところが、この事態である。まさに緊急事態である。そこで、B氏はA氏の自宅を訪ねた。
(つづく)
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筆者紹介
川﨑 依邦
経営コンサルタント
早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。
株式会社シーエムオー
http://www.cmo-co.com -
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