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射界
2018年2月12日号 射界
2018年3月9日
サントリーの創業者鳥井信治郎は「やってみな分かりまへんで、やってみなはれ」が口癖だったと言う。詩人で彫刻家の高村光太郎は「私の前には道がない。私の後ろには道ができる」と記す。この世にあって、望みの全てが叶うとは限らない。まず実際に手掛けて成否を確かめることだ。
▲では、努力一辺倒が最良かと言えば、そうでもない。さほど努力したわけではないのに、なぜか成功する例がある。これを人々は〝千載一遇〟の幸運と歓喜し、実力とかけ離れた偶然の成功を、あたかも我が身の実力と錯覚する。喜びが高じて力量を自ら過大評価し、自信変じて慢心に陥るから用心したい。「わが身可愛さ」ゆえの落とし穴に気を付けたい。
▲西欧の賢人は「人間は自らの成功(運命)を創造するのであって、これを迎えるものではない」とも説く。実力の伴った真の力量を備えた人は、培った知識や知恵に恵まれ、度胸もすわっている。いざという場合でも、少しも騒がず勇気をもって沈着な態度で事にあたり、難しい局面も見事にさばく。相手の地位や肩書に関係なく、泰然と向き合う強さがある。
▲全力を傾注して努力する姿は、周囲の理解と納得を呼び寄せる。仮に失敗したとしても咎める者はいない。当の本人も屁理屈をこねまわして弁解することもない。最も残念がるのは本人であり、失敗から学んだ教訓を次の成功に生かす構想を立てているはず。常に前向き姿勢で多少の失敗など気にしない強靭な気力を持って自ら道を切り開いて前進するだろう。
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