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ブログ・鈴木 邦成
ロジスティクス戦略についての理解
2008年8月5日
はじめに
物流フリートークとは違った切り口と見方で物流についてさまざまな角度から思うことを書いていくという趣旨でブログを始めさせていただくことになりました。私が考える「物流とは何か」、「これから物流はどうなっていくのか」といったことなどを雑記的に書かせていただきます。よろしくお願いします。
トップマネジメントを起点とした物流知識
近年の経営トップの条件に「さまざまな経営判断やそれに伴う意思決定を下しやすくするための、ある程度のロジスティクス(戦略物流)やSCM(サプライチェーンマネジメント)の知識」が加わりつつあるように思える。
無論、物流業界の視点から、物流は考えられることが多くなるわけだが、今後は物流部門の諸活動は企業システム全体の流れの中で巨視的、鳥瞰的な視点から考えられなければならない時代に突入しつつあるといえよう。
実際、物流現場改善は近年、相当に進歩してきたわけである。TMS(輸送管理システム)やWMS(倉庫管理システム)といった物流ソフトの進化や物流ABCなどの合理的な物流コスト計算方法の確立なども、物流改善の流れを推進させてきた。
そしてそれに加えて、ロジスティクス戦略をいかに構築、推進していくかを考えるには経営トップがロジスティクス戦略を理解し、経営戦略全体の中で「いかに物流システムを構築していくか」ということを考えなければならないというわけである。
日本企業に必要なロジスティクス戦略の「標準装備」
はじめて企業経営に「戦略」という概念を導入したのは今は亡きピーター・ドラッカーである。ドラッカーが初めて事業戦略という言葉を使おうとしたときには、(いまでは考えられないことだが)「戦略」という語は軍事用語でもあったので「そんな言葉は使わないほうがいい」と忠告されたとも聞く。
だが無論、現代の企業経営が「戦略」という言葉・概念抜きで行われるということはありえない。ある程度以上の規模の企業ならば経営トップは財務戦略、営業戦略、広告戦略などについての相当の理解力を持つ。現場経験がなくても、ヒヤリングや独自の視点からの勉強などを通して、経営的決断・意思決定を行うわけである。そしてそれはロジスティクス戦略についても今後は同様の傾向が強まってくることになるだろう。
これからの経営トップにロジスティクス戦略に対する深い理解が必要になるのは間違いないわけである。これまでの経営トップと同様にロジスティクス戦略を知らなければ、経済グローバル化で複雑化する現代経営をストレスなく乗り切っていくことは難しくなるというわけである。
「ロジスティクス戦略」がこれからの日本企業のトップにとってもっとも必要なビジネス知識のひとつとなりつつあるといえよう。この記事へのコメント
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筆者紹介
鈴木 邦成
物流エコノミスト・日本大学教授
国際政治経済、国際文化に関する造詣が深く、記事・論文・著作多数。
欧米諸国の地域経済統合の流れを、物流・ロジスティクスの観点から追求している。
国際物流に関するセミナーやロジスティクスに関する講演会での講師歴は多数。 -
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