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ブログ・鈴木 邦成
「執筆・出版」のロジスティクス
2008年9月1日
九月に入り、小中学校などの夏休みも終了しました。九月二週目からは国際物流展も始まります。季節の変わり目ということで心機一転される方も多いのではないでしょうか。
また読書の秋ということで物流関連の書物、文献に目を通される方も多いことと思います。
先日、ご紹介させていただきました『絵解きすぐできる商品管理・物流管理』(遠藤八郎・鈴木邦成/共著、日刊工業新聞社)も全国書店の物流コーナーなどの店頭に並び始めました。ネット書店での購入も可能になっています。これまでにはないユニークな視点から商品管理・物流管理をWMSの導入をふまえて紹介させていただいております。
これまで物流関係その他で日本語、中国語(翻訳)などの著書を多数出しているので
「本の執筆、出版というのにはどれくらいの時間がかかるものなのでしょうか」という質問を職業柄、よく受けます。そこで今回は執筆、出版について、執筆者サイドからの「物流の視点」をふまえてご説明してみましょう。
執筆の長いリードタイムと「原稿の不良在庫化するリスク」
執筆、出版企画の検討のまえに内容について出版社と話し合ったり、構想を練ったりしますから、通常、多くの筆者は出版の半年~1年くらい前から案を練り出すのではないかと思います。
実際の執筆期間は人によって異なりますが三ヶ月~半年程度が一つの目安になると思います。もちろん、早く書けてしまう人や以前から書き溜めている人などもいますからもっと早く執筆される方も多々、いらっしゃいます。 ただし、せっかく執筆しても出版されなければ「不良在庫」となる原稿を抱えるリスクもあります。企画が通らない段階で執筆を進めるのは相当の意欲が必要になります。リスクも大きいといえるでしょう。
筆者サイドから執筆・出版を考えると「リードタイムを短くし、原稿を不良在庫化させないように、いかにムダ、ムラ、ムリなく文章を書けるか」ということが重要になってくるわけです。
執筆後も出版までの長いリードタイム
出版までのリードタイムを短縮する方策も時代とともに進んでいるとは思いますが、「執筆」という分野が「頭脳労働+手作業」なのでその時間の短縮はなかなか進みません。ただそれでも手書き執筆からワープロ、パソコン執筆になったことで能率、作業効率は大きく向上しました。
また、執筆後、すぐに本が出版されるというわけではなく、執筆⇒出版社への入稿⇒出版社からの修正依頼、加筆依頼など⇒修正・加筆⇒出版社側の編集作業⇒印刷会社への入稿⇒校正ゲラの修正⇒見本⇒出版といったプロセスを経なければなりません。執筆者から出版社への入稿から書店に本が並ぶまでは最短でも二ヶ月程度を見なければなりません。
ちなみに出版する書物のタイトルや内容などは出版するまでは重要な「企業秘密」になります。競合他社に企画などを奪われたりするリスクもあるからです。
この記事へのコメント
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筆者紹介
鈴木 邦成
物流エコノミスト・日本大学教授
国際政治経済、国際文化に関する造詣が深く、記事・論文・著作多数。
欧米諸国の地域経済統合の流れを、物流・ロジスティクスの観点から追求している。
国際物流に関するセミナーやロジスティクスに関する講演会での講師歴は多数。 -
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