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  • ブログ・鈴木 邦成

    全体最適を乱す理由

    2009年2月23日

     
     
     

    日々変わる人の流れ、モノの流れ
    ぼんやりと自宅の窓辺から週末の都心の光景を見ていると、平日とは異なる時間の流れが見えてくるような気がします。平日の街中を忙しく行き交うビジネスマンたちの代わりに休日は家族連れやカップルが楽しそうに街路を歩いていきます。そしてもちろん、物流も平日と週末とでは異なることになります。
    「割れた窓」のイメージ
    ところで欧米人は比喩の中に理論や法則を見出すことがうまいような気がします。
    たとえば「ブロークンウィンドー(割れ窓)理論」という犯罪環境学の考え方があります。
    これは「窓が一つ割れていると、他の窓が割れても気にしないようになり、ついには多くの窓が割れることになる」という理論です。それを証明するような実験も多数、行われています。
    一例を挙げると、「郵便ポストの周辺をちらかしておくなどすると、きれいにしている場合に比べて犯罪率が高まる」という報告もあります。
    「犯罪などで大きな不正を防ぐために小さな不正についてもきびしく取り締まる」というのはこのブロークンウィンドー理論をもとにしているといえます。割れた窓を早めにちゃんとした窓に取り換えることで犯罪が防止できるというわけです。
    物流センターなどでもブロークンウィンドー理論は適用できるでしょう。検品をきちんとやる、指さし呼称を励行するといったことも誰かが手を抜けば全体の士気が落ちたり、ルールを守れない人が続出したりするリスクがあるからです。
    「わずかな油断や隙が全体最適、全体の調和、さらにはサプライチェーンの進展を大きく乱していくことになる」と考えてもいいかもしれません。

     
     
     
     

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  • 筆者紹介

    鈴木 邦成

    物流エコノミスト・日本大学教授
    国際政治経済、国際文化に関する造詣が深く、記事・論文・著作多数。
    欧米諸国の地域経済統合の流れを、物流・ロジスティクスの観点から追求している。
    国際物流に関するセミナーやロジスティクスに関する講演会での講師歴は多数。

     
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