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ブログ・川﨑 依邦
経営再生物語(197)大切な心の経営〈事例A〉
2018年5月22日
〈孤立したA社長〉
労働組合結成通知書と団体交渉申入書を手渡されたA社長。「59歳の老いぼれ分会委員長め。何を血迷ったのか」︱︱すぐさま経営会議を招集して、古参幹部を責め立てる。「こうなったら、組合員の一人ひとりを辞めさせろ」とけしかける。すると、おずおずとある幹部が発言する。「そういうことをするなと、組合結成通知書に書いてあります。〝不当労働行為をするな〟︱となっています」
だれもA社長に同調しない。今度ばかりは、何をどうしたらいいか分からない。居並ぶ幹部は下を向く。「団体交渉なんかしない。そのままにしておけ」とA社長。
ところが労働組合は連日、申し入れをしてくる。「団体交渉の日時を決めて欲しい」︱時には電話、時には直接、会社に出向いてくる。上部団体から矢のような催促が続く。
会社の幹部は返事ができない。「社長に聞いて欲しい」の一点張りである。幹部の中には、密かに腹の中で「うちのぼんぼんは組合でもできないと目がさめない」と組合にシンパシーを寄せている者もいる始末である。
肝心のA社長は逃げの姿勢をとっている。常日頃の大言壮語ぶりもどこへやら、ついには会社に出てこなくなった。逃げたのである。A社長にしてみれば、だれも自分に味方しないので、すねたわけである。「わたしは知らない」とばかりに逃げたのである。
(つづく)
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筆者紹介
川﨑 依邦
経営コンサルタント
早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。
株式会社シーエムオー
http://www.cmo-co.com -
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