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ブログ・川﨑 依邦
経営再生物語(206)逃げずに立ち向かえ〈事例A〉
2018年7月9日
〈不満の爆発〉
A社は、車両台数20台の運送業者である。ここ2年間、昇給なしで頑張ってきた。それでもついに4月の給与改定での賃金カットに踏み切った。一律10%のカットである。すると労働組合が上部団体の分会として公然化した。賃金カットに対する反発である。分会員には乗務員20人の50%、10人が含まれていた。労働組合加入通知書が突き付けられたわけである。
「今般、貴社の従業員が○△支部に加入し、当組合に所属されましたので、ここにご通知申し上げます。労働者が労働組合に加入することは、法律によって保護されています。すなわち、憲法28条では、〝勤労者の団結する権利および団体交渉、その他の団体行動をする権利はこれを保護する〟さらに、労働組合法の第7条では〝1.労働者が労働組合の組合員であること、労働組合に加入もしくはこれを結成しようとしたこと、もしくは労働組合の正当な行為をしたことの故をもって、その労働者を排除し、その他これに対して不利益な扱いをすること、または労働者が労働組合に加入せず、もしくは労働組合から脱退することを雇用条件とすること。2.使用者が雇用する労働者と団体交渉をすることを正当な理由なく拒むこと。3.労働者が労働組合を結成しもしくは運営することを支配し、もしくはこれに介入すること〟︱︱を不当労働行為として禁止しています」
A社長は愕然とする。血の気が引く。「これがうわさに聞いていた組合か。乗務員の50%も分会に入るとは、何たることか」。さらに、「夏季一時金要求書」と「分会要求書」および「団体交渉申入書」を渡された。
「団体交渉申入書」は5日後に団体交渉を開く旨、申し入れている。場所は○△支部の上部団体の組合事務所である。要求事項は「①分会に分会事務所と掲示板を貸与すること②組合員に影響を与える問題(身分、賃金、労働条件などの変更)については、会社は事前に組合と協議すること③会社は組合活動については就業時間内であってもこれを認め、平均賃金を保証すること」︱︱とある。
(つづく)
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筆者紹介
川﨑 依邦
経営コンサルタント
早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。
株式会社シーエムオー
http://www.cmo-co.com -
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