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ブログ・小山 雅敬
第142回:運送会社における社内組織の見直し方
2018年10月23日
【質問】弊社は社員数70人、車両台数52台の運送会社です。管理職が育っておらず、指示命令が徹底されない悩みを抱えています。次年度に向けて、新しい社内組織を構築したいと思っていますが、運送会社に適した組織の作り方があれば教えてください。
上場企業は別として、一般の中小運送会社の社内組織はおおむね、シンプルな機能別組織です。ただし、運送業の業態は荷主、貨物、車種、運行エリアなどが多種多様であり、最適な社内組織は会社ごとに変化します。実運送だけでなく、物流倉庫を複数所有していたり、引っ越しや物販、工事部門など多様な業務を抱えていたりしますので、その事業内容や会社規模、会社の発展段階などに応じて、組織の作り方は変化していきます。
例えば、規模による組織の作り方の違いを挙げると、次のとおりです。社員数20人未満の運送会社では、家族経営的な原始組織でも十分機能します。具体的には、オーナー社長が会社全体を管理し、社長夫人(または親族)が経理・総務などの管理部門を担当、社長の下に営業兼運行管理者の息子がいて配車管理全般を行う体制です。これが20人以上50人未満の規模になると、社長1人で全体を見ることが次第に困難になり、明確な機能別組織を作る必要があります。具体的には、社長のもとに管理部(もしくは総務部、経理部など)、及び業務部(もしくは運行管理部、運輸部など)、会社によっては営業部などを置き、業務部の下に各営業所や物流センターを配置する組織が一般的です。各部署に管理職を配置します。
さらに50人以上100人未満の規模になると、管理範囲が広がるため、管理組織を細分化していくことになります。特に、業務部の下に組織する管理体制を見直すことが多く、例えばリーダー(班長)制度などを作っていくことになります。これは主に日常の安全管理や健康管理の側面が大きく、互いの顔色がわかる程度の組織体制にすることで、健康面のチェックと事故防止が万全にできるようになるからです。
さらに各リーダーに管理者の意識づけを行い、会社の指示命令を末端まで徹底させる目的で設置します。100人以上の規模になると、営業専任者を配置したり、経営企画室を新設し、社長の補佐役として経営戦略を考えたり、全社横断的な課題を担当させることになります。これは規模の拡大に伴い、コンプライアンスの徹底が難しくなり、システム投資など組織として取り組む業務が増加するためであり、効率的な分業体制を構築する必要があるからです。
(コヤマ経営代表 中小企業診断士・日本物流学会会員・小山雅敬)
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筆者紹介
小山 雅敬
コヤマ経営
昭和53年大阪大学経済学部卒業
都市銀行入行。事業調査部、中小企業事業団派遣、シンクタンク業務に従事。
平成4年三井住友海上入社。中堅中小企業を中心に経営アドバイス、セミナー等を多数実施。
中小企業診断士、証券アナリスト、日本物流学会正会員 等資格保有。 -
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