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射界
2018年8月27日号 射界
2018年9月3日
言うまでもなく、人間は独りで生きることはできない。生を享けて現在まで色んな人と関わりながら暮らしてきた。生を授けてくれた親の恩に始まり、社会人となって生活する術を教えてくれた人々や手を貸してくれた人、苦労を共に分かち合った仲間と枚挙の暇もない。国や社会からの恩もある。
▲それら多くの恩に対して、どうお返しすべきかが問われる。その方法は色々あって、それぞれに一理あるが、要約すれば「人から受けた恩は忘れるな」という一方、「人に与えた恩は忘れてしまえ」という。受けた恩は忘れることなく、いつかお返しできるようになったら、お返しに努めなさいと、古典『詩経』にあるが、世間はその逆をいくことが多いようだ。
▲沈思黙考、血気盛んな若い時代を反芻する。この時期にこそ多くの恩を他人様から得たことに気付く。若さゆえに黙認された不遜な言動もあったにも関わらず、多くの人は咎めることなく寛容だった。その恩をお返しすればよいと考え、受けた恩を忘れずにお返しする…慌てることなく無理せず余裕をもって、お返しすれば、それで立派な恩返しと言えるだろう。
▲誰でも加齢とともに老いて、いつしか恩返しする側に回っている。恩返したいと思った時、すでにその人が浮世から姿を消しているかも知れない。そんな場合は社会や後輩に恩返しできればよい。経験した数多い貸し借りも、最終的にはプラス・マイナス・ゼロにして恩返しができれば幸いだ。人々の支えがあって生きる企業経営にも当てはまる恩返しといえる。
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