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  • ブログ・花房 陵

    4 大手企業とのビジネス条件

    2010年9月8日

     
     
     

     物流改善に制度対応という課題が生まれてきたのは、ちょうど不景気を実感した途端だった。とはいえすでに20年間が記憶に残っていない。仕事で忙しいのではなく、デスクで書類に追われているのが実感であろう。CO2計算や倉庫のセキュリティ設備交換のために見積を取ったり、社内の稟議書で苦労したり。個人情報保護法ができたら、講習会にも行ったり従業員に説明会を行い、就業規則を改定して、退職時には宣誓書まで書かせたんだから。

     新しい制度は何のために行ってきたのか。手間と苦労はいつ実るのだろうか。

     

     普段の顧客からは「面倒な時代になりましたね」などと床屋政談で済む話だが、実は営業部門は必死に開拓営業を続ける風向きが変わってきているのを承知している。

     いきなり「安くなるんだよね」、という料金交渉よりも前に、「コンプライアンス対応はどうか、セキュリティバックアップはどうか、そもそも御社はどんな契約書を準備できるのか」、などとかなりの耳年増的な話題に苦労していた。

     信用、体裁、格付け、ポリシーなどの話題が出てくるのは、元気のいいベンチャー企業か株式公開企業の関連会社が荷主になろうとしているときだ。

     「お金持ちになりたければね、お金持ちたちと付き合うことさ」・・・・・世に言う真理とはこんなところに露骨に表れる。

     

    【当社の物流サービスは、公開企業と付き合えるか?】

     

    ・上得意の大原則

     

    笑い話だが、「なぜお金が溜まりましたか」「コップに水があると思いなさい。すぐに飲んだらなくなりますよ。見て渇きを消すのです」・・・遣わなければ貯まる、というのが原則らしい。映画マルサノ女のシーンであった。

     大手荷主と付き合いたいなら、彼らの関心を集めなければならない。今の話題はどこにあるか。売上げか利益か制度なのか。

     まさにこの20年間、すべての企業が制度疲労を起こしているのだ。そして、次々と新しい制度が誕生して、悩みの種になっている。

     そこに共通点がある事を忘れてはならない。われ等と金持ちとの違いは明らかでも、共通点がある事も明らかなのだ。

     商談は共感から始まるという鉄則がある。相手に同情を感じてもらうためには、制度問題をトークに仕立て上げる必要がある。

     だからIFRSであり、セキュリティであり、円高ドル安、不景気なのだ。

     

     

    ・顧客を選ぶ大原則

     

     IFRSによる制度変更には劇的な問題がある。

     

    1 売上げ確定が検収基準になる

    2 施設解約の原状回復費用を「資産除去費用」として債務計上する

    3 在庫は先入れ先出し原則徹底で、評価方法も総平均になる

    4 リース会計は資産計上して、減価償却計算は定額法になる

    5 売上げは消化仕入れは×で手数料になれば、物流コスト予算が変わる

    6 外部監査人や会計士が現場にやってきて、実務を証明せよと迫る

    7 配送伝票は売上げ原票になるから、7年保管を要求される

    8 まだまだ、続々と出てくる

     

     こんなことがもうすぐ絶対的な確定事項として新聞に登場するのだ。

    今はまだ勉強家や財務経理の担当者が学習しているところだから、制度改変によって工場や営業、物流の現場がどうなるかを想像しているだけかもしれない。(大変なことになりそうだ、・・・・どうしよう?)というレベルかも知れない。

     

     この話題が共感を呼ぶはずだし、明日に備える姿勢につながる。コストやスピードで勝負してもたいした差別化は図れないから、顧客と共感することが大事なのだ。特に大手と付き合いたいなら、荷主の関心ごとがすでにコストやスピードではないことに気づかねばならない。

     コストやスピードは競争力の何かになるものではないからだ。他社でも競合でも新規参入でも、圧倒的な脅威にはならないからだ。

     これからの差別化要素は、知識と体制であることに気づかねばならない。営業ががんばってもM&Aには逆らえないし、現場に優れた人材がどれだけいても二つの現場を同じレベルでこなすことはできない。物流サービスの差別化はノウハウとそれを広める体制にある。いわば知識と共有で競争しているに過ぎないのだ。もとはタダ同然のノウハウなら、今からでも積み上げることができるだろう。それがIFRSであり、新しい制度の情報鮮度なのだ。

     
     
     
     
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  • 筆者紹介

    花房 陵

    イーソーコ総合研究所 主席コンサルタント
    コンサル経験22年、物流から見た営業や生産、経営までをテーマに 28業種200社以上を経験。業種特有の物流技術を応用して、物流 の進化を進めたい。情報化と国際、生産や営業を越えたハイブリッド 物流がこれからのテーマ。ITと物流が一体となる日まで続けます。

     
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