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ブログ・野口 誠一
第10回:倒産の前触れ第5条/あそこは危ないというウワサが世間に広まったとき
2004年2月1日
倒産の前ぶれ15カ条の第5条は、「あそこは危ない」という『ウワサが世間に広まったとき』である。
「ウワサ」には根も葉もないものもあれば、「火のないところに煙は立たぬ」のたとえもあるように、意外に真相を衝いたものもある。が、ウワサもまた一つの情報であってみれば、それに対処するのも経営者の責務であろう。自社がウワサの対象となったときは、それが根も葉もないものであったとしても、座視は禁物である。ウワサには尾もつき鰭(ひれ)もつく。放っておけば消費者にソッポを向かれたり、取引先の疑心暗鬼を誘うことにもなろう。そんなときは即座に、根拠を示しつつ、全力を挙げてウワサを否定しなければならない。上場企業の場合、ウワサだけで株価が暴落するケースがあるのだから。
逆に、ウワサが真相の一端に触れているときは、第一に隠さないこと、第二に、どんなに悪い情報でもディスクローズすることが肝要である。自社に不利な情報を公開するなんて……と思われるかもしれないが、それが信用回復の早道であることは、この「失われた10年」の間に相次いだ企業不祥事が反面教師であろう。最初は隠し、バレると渋々認め、最後はバンザイ、というのが不祥事を起こした企業の姿勢ではなかったか。それがどれほど消費者・国民の不信を買ったか測り知れない。悪い情報であればあるほど、速やかに公開すべきであろう。
一方、取引先企業の悪いウワサを耳にした場合は警戒を要する。速やかにウワサの真偽を確かめるとともに、万一に備えてリスクの分散や債権の回収を工夫しなければならない。ヘタをすれば連鎖倒産に巻き込まれないとも限らないのだから。
ウワサの管理もリスクの管理の一つであろう。この記事へのコメント
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筆者紹介
野口 誠一
八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。 わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。
HP:https://yaokikai.com -
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