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ブログ・野口 誠一
第2回:倒産の実態
2004年1月7日
最近は大企業や上場企業が倒産したと聞いても、誰も驚かない。それほど日常化したということであろう。先日も大手企業が倒産し、経営陣がテレビで詫びていたが、そんな光景も見慣れて久しい。が、倒産がニュースになるのも大企業だけのこと。中小企業の場合は話題にもならず、むなしく年間倒産件数の中に埋没していく。マイカルが潰れてダイエーは生き残ったが、それも「規模」と無関係でないらしく、ダイエーを潰せば社会的影響が大きすぎる、というのがその理由のようである。
しかし、倒産の悲惨さは規模が小さくなるほど深刻で、単なる企業倒産が家庭倒産(離婚・一家心中)や、人生倒産(自殺・夜逃げ)などに直結するケースもまれではない。私たちは毎日がそうした事例との闘いであり、八起会は「悲惨のデパート」と言っても過言ではない。一、二、実例を紹介しよう。
倒産やむなし、とハラをくくった経営者が、妻の留守を見はからってガス栓をひねり、自殺を企てた。が、ほどなく奥さんが帰宅して異常に気付き、ガス栓を止めて窓を開け放ち、そしてこんこんとご主人を説得した。さすがにご主人も非を悟り、奥さんに破産を約束した。が、その直後、ホッとしてご主人がタバコに火をつけた瞬間、よどんでいたガスに引火して大爆発。ご主人は即死、奥さんは大火傷を負った。
もう一例。経営難から街金融にまで手を出し、借金の取り立てにノイローゼとなった経営者が、自殺しようと公園の木にネクタイをかけて首を吊った。が、気がついてみると地面の上。ネクタイの結び目がゆるんで落ちたのである。が、その直後、猛烈な恐怖感に襲われてついに死にきれなかった。生死はまさに紙一重。が、これが中小企業倒産の実態である。この記事へのコメント
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筆者紹介
野口 誠一
八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。 わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。
HP:https://yaokikai.com -
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