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ブログ・野口 誠一
第25回:倒産の原因第8位/決断力・実行力の欠如
2004年3月20日
「倒産の原因ワースト10」の第8位は、経営者の「決断力・実行力の欠如」である。
これは見やすい道理であろう。そもそも経営は「判断力」「決断力」「実行力」の「三力」に集約されると言っていい。この三力をバランスよく身につけた経営者に倒産はあり得ない。が、そんな経営者は希有であろう。正しい判断は下せるのに決断力や実行力に乏しかったり、誤った判断のもとに猪突猛進したりする経営者も少なくない。
大企業と中小企業の差は、この三力の差にあると言っていい。むろん、中小企業の経営者が大企業の経営者に劣るという意味ではない。むしろ、大企業のサラリーマン経営者より、中小企業の叩き上げ経営者のほうが決断力や実行力に優れている例は多々ある。ただ、大企業は経営陣の層が厚く、それがまとまって三力を押し上げているのである。その点、中小企業の経営者はよほどナンバー2、ナンバー3に恵まれない限り、わが身一つで三力を体現しなければならない。そこに中小企業の辛さがある。
目下、日本経済・産業界は、未曾有のデフレ経済を受けて選択と集中に躍起である。リストラ旋風が吹き荒れ、事業部門や子会社を売ったり買ったり、切り離したり吸収したりと目まぐるしい。
こうした混乱と流動化の時代に問われるのが三力である。中小企業はその三力において大企業に劣るかもしれないが、そのハンディを補って余りあるのが、経済乱世とも言うべきいまの時流であろう。
銀行は合併に生き残りを賭けているようだが、いまのところその効果よりも弊害が目立つ。流通・建設・不動産の不況三業種は、資産とグループ企業の切り売りで命脈を保っているかに見える。こうした混沌と乱世こそ、小まわりの利く野武士集団のような中小企業の出番であろう。この記事へのコメント
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筆者紹介
野口 誠一
八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。 わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。
HP:https://yaokikai.com -
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