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ブログ・野口 誠一
第85回:倒産する人・しない人15か条 向上心の有無
2004年9月17日
「倒産する人・しない人15か条」の第8条は、「向上心の有無」である。
向上心のある人とない人はひと目で区別がつくが、いざ「向上心とは何か」「どうすれば向上心を持てるか」と問われると、たちまち答えに窮してしまう。向上心という言葉には、常にそういう曖昧さ、正体のなさがつきまとう。私もよく講演やセミナーなどで向上心を強調するが、それを具体的、実態的に語ろうとして苦労した覚えがある。
そんなある日、「昨日の我に今日は勝つ」という言葉に出会った。これは将棋のプロ9段・内藤國雄さんの言葉だが、元々は美空ひばりさんの言葉なのだそうである。その頃、内藤さんは歌手としても活躍しており、ステージに立つ前は声が出るか、歌詞を度忘れしないかと、不安でたまらなかったという。ところが、その不安は大ベテランの美空ひばりさんも同様で、歌う前に「昨日の我に今日は勝つ」と自分に言い聞かせてステージに立ったという。そのことを内藤さんは次のように書いていた。
第1人者でも舞台に立つ前は不安で、それを「昨日の自分よりも今日の自分のほうが歌がうまくなっているはずだ」と自らに語ることで不安と戦っているのだということを私は知った……と。
その後、内藤さんは歌手生活に忙しく、本業である将棋の成績が下降線をたどる。が、そこから盛り返す力となったのが「昨日の我に今日は勝つ」であり、そこへさらに「今日の我に明日は勝つ」を付け加えて努力を重ね、ついに2つのタイトルを手中にしたという。
短い文章だったが、読み終えたとき私の脳裡に「向上心」という言葉が浮かんだ。歌でも将棋でも「昨日より今日、今日よりは明日」と努力を重ねて向上していくしかない。経営も同様であろう。この記事へのコメント
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筆者紹介
野口 誠一
八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。 わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。
HP:https://yaokikai.com -
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