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ブログ・野口 誠一
第104回:失敗しないための戒め15か条 あの時はよかった…という考えに囚われるな
2004年11月13日
「失敗しないための戒め15か条」の第10条は、「あの時はよかった…という考えに囚われるな」である。
たとえば、再婚した男が「前の女房のほうがよかった」と思いながら暮らしたとしたらどうなるか。いずれ家庭崩壊、離婚は避けられまい。経営も同様である。あのときはよかった、儲かった、という思いが頭をかすめるようになったら要注意である。
バブル崩壊後、中小企業はもとより、大企業、銀行までがバタバタ潰れたが、その多くはバブル時の「よかった」思いが忘れられず、いずれ景気は回復する、地価も株価も回復すると思い込み、「待ち」の経営にひきこもったからではなかったか。そのひきこもりが「失われた10年」という長期低迷につながったことは言うまでもない。
それがようやくここへきて、上場企業の連結純利益が史上初の10兆円突破、というまでに急回復したのはなぜか。むろんそこに、リストラや選択と集中など、さまざまな企業努力があったことは論をまたない。が、それだけではあるまい。経営者がようやく「よかった」ときのことを忘れ、「待ち」の経営に見切りをつけたからにほかなるまい。
そのきっかけをつくったのが小泉首相であろう。大方の経営者が政府の景気対策や財政出動に期待するなかにあって、小泉首相は構造改革の名のもとにそれを拒否、なおかつ公共投資のカットに走った。この小泉首相の姿勢を見たら、どんなひきこもり経営者といえども、自然回復など「待って」いられない。そこで猛然と自助努力を重ねたことが、今日の業績急回復につながったのである。とすれば、小泉首相こそ最大の功労者であろう。
それはともかく、経営者が「あのときはよかった」と思うこと自体、マイナス思考の表れと言っていい。この記事へのコメント
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筆者紹介
野口 誠一
八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。 わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。
HP:https://yaokikai.com -
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