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ブログ・小山 雅敬
第151回:真に効果的な人材確保対策などあるのか?
2019年3月5日
【質問】真に効果的な人材確保対策などあるのか? という質問は、厳しい人手不足に直面している運送業経営者の切実な声だと思います。全国で中小運送会社の経営相談、特に人材確保の相談に多く応じていますが、相談者からは「求人支援会社の提案を採用して資金を投じたが、効果は最初のうちだけだった」という声も時々聞きます。
最近、経営指導を行う過程で痛感していることがあります。各社の実態に合わせて改善策を講じるものの、「これさえ実行すれば必ず人が集まる」という特効薬は存在しないということです。例えば、求人活動の必須アイテムである求人用ホームページやハローワークに提出する求人票、もしくは求人広告などに関しては、効果的な作成ポイントさえ押さえれば、その改善自体は難しいことはなく、すぐに改善することができます。各種の求人情報サイトにも一定の効果はありますが、求人にお金を掛ければ比例して効果がでるというものではありません。
一方、中小運送会社で人材確保に成功している会社が各地に点在しています。その共通点を見ていくと、口コミで入社している社員が多いことに気がつきます。それらの会社は、特に多額の資金を使って求人対策をしているわけではありません。このことは保有車両が数百台程度の比較的規模が大きい中堅運送会社についても同様の傾向が見られます。それらの会社が注力しているのは、既存の社員が働きやすい環境を作ることです。それは労働時間の削減など労働環境の整備だけではありません。もっと身近なことで、社内の組織やルールを明確にして、わかりやすい会社をつくること、頑張った結果が処遇に反映されることなどに力を入れています。わかりやすく、風通しが良い、コミュニケーションの良い職場にすることで、社員が仲間を誘いやすい環境にしようとしています。社員を「人財」として尊重する会社です。
現実に社内の整備を行った会社からは「その後、3人増員しました」「車両を10台増車しました」「女性乗務員が増えました」などという連絡をもらうことがあります。真に効果的な人材確保対策とは求人媒体やツールだけではなく、既存の社員が友達に入社を勧めるような会社に近づけていくことだと言えるでしょう。
(コヤマ経営代表 中小企業診断士・日本物流学会会員・小山雅敬)
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筆者紹介
小山 雅敬
コヤマ経営
昭和53年大阪大学経済学部卒業
都市銀行入行。事業調査部、中小企業事業団派遣、シンクタンク業務に従事。
平成4年三井住友海上入社。中堅中小企業を中心に経営アドバイス、セミナー等を多数実施。
中小企業診断士、証券アナリスト、日本物流学会正会員 等資格保有。 -
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