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ブログ・青木 正一
第23回:問題点をヒアリングで抽出
2006年5月28日
M部長にヒアリングをした結果、次のことが分かった。
1青果物は「相場商品」であるため、安いときに大量に仕入れなければならない2良質の商品を確保するため、売れ筋ではない商品(半端な商品)を仕入れることもある3物流部は商品をモノとして扱っている(と思われる)ので、信頼して任せることが出来ない4物流部へ出荷指示を出すための事務作業に多くの時間が取られてしまい、お客様のところに訪問する時間・回数が減ってきている。
12から、営業では大量に商品を仕入れていること、本来、必要ではない商品まで仕入れていることが明確になった。
S所長が言われていた「品質を保つのが難しい」というのは、このあたりに問題があるように思えた。実際に現場では、仕入先から入荷されたままの場所(屋外)に放置されている商品が多くあり、中には表面に水分が出てきてしまっているものもあった。これでは品質保証ができなくても仕方のない状況である。にも関わらず、M部長の営業部としての意見は、「そこを何とかしてうまく冷蔵庫に保管するのが物流の仕事」であった。
34から、本来、営業担当者が行うべき新規顧客の獲得や既存顧客の深耕は行えていないことが明確になった。昨今の量販店の業績不振は卸売業にも大きなダメージを与えているということは事実であるが、A社の場合、それに輪をかけて売り上げが落ち込んでいた。
しかし、このような環境の中でも売り上げを伸ばしている卸売業がある。それらの企業に共通していることは、商品だけを売るのではなく、「売り場全体をコーディネートする(提案する)」ということである。M部長もそのことは不足している点であると認識されてはいたが、「それよりも物流の品質を上げることが先である」という考えであった。
A社の問題は、M部長の意見・考えをK社長が支持していることだった。K社長も一代でA社を年商百億円超の企業にまで成長させたこともあり、「営業が第一で、物流は営業の下部組織である」「商品は大量に仕入れて大量に売る」という昔ながらの考え方にどうしても依存してしまいがちであチた。
A社の物流を改善するためには、K社長を含め、考え方を変えてもらわなければ成功しないと考えられた。この記事へのコメント
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筆者紹介
青木 正一
株式会社日本ロジファクトリー
1964年11月13日生まれ、京都産業大学経済学部卒。
学生時代に数々のベンチャービジネスを行い、卒業後、ドライバーとして大阪佐川急便入社。1989年株式会社船井総合研究所入社。物流開発チーム・トラックチームチーフを経て、コンサルティングでは対応できない顧客からの要望を事業化するという主旨で1996年“荷主企業と物流企業の温度差をなくす物流バンク”をコンセプトに、物流新業態企業「日本ロジファクトリー」を設立。代表取締役に就任。
主な事業内容として「現場改善実務コンサルティング」「物流専門人材紹介(ロジキャリアバンク)」「物流情報システム構築サポート(ロジシステムデザイン)」を行なっている。
また、物流業界におけるコンサルタントの養成、人材の採用、育成、M&Aといったプロデュース業務も手掛けている。
最近では、産業再生機構からの要請を受けるなど、「物流再生」に力を入れている。 -
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