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ブログ・鈴木 邦成
第98回:松下電器の流通改革
2006年9月24日
発展したわけであるが、それらの製品を大量に受け入れる大量消費市場と、いかにつながりを深めていくかということが重要な課題となった。家電業界の流通ルートは当初、未整備で、消費者に安定的に製品を供給するのは容易ではなかった。
そこで松下電器は、系列の卸売店を増やすべく、連盟店制度を創設し、小売店の組織化に力を注いだ。そして1950年代にテレビが登場すると、販社制度の設立を行い、併せて小売店のさらなる系列化を進めていくのであった。
1955年には松下電器の製品を扱う卸売店は、300社に達していたが、その多くは松下電器のみの製品を扱うわけではなく、他のメーカーの製品も扱う併売卸店でもあった。
そこで松下電器は、そうした併売卸店を同社の専売店とするべく、卸店同士の合併を推進したり、卸売業との共同出資によって新しい専売店を設立したりした。卸売業と新専売店には役員の派遣などで、系列下に収めることとした。
さらに、小売段階での系列化についても進め、店内改装、宣伝広告費の援助などを行った。しかしバブル期以降、平成不況などもあり、家電メーカーは相次いで組織のスリム化を求められるようになった。
そうした流れの中で松下型のメーカー主導の流通システムも重荷となっていった。バブル崩壊直後、全国に約2万7000あった系列組織「ナショナル店会」を解散し、販売促進を目的とした新組織に組み替えた。これを機に松下電器は同社の流通ネットワークの刷新を開始したのである。この記事へのコメント
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筆者紹介
鈴木 邦成
物流エコノミスト・日本大学教授
国際政治経済、国際文化に関する造詣が深く、記事・論文・著作多数。
欧米諸国の地域経済統合の流れを、物流・ロジスティクスの観点から追求している。
国際物流に関するセミナーやロジスティクスに関する講演会での講師歴は多数。 -
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