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ブログ・湯浅 和夫
第6回:近年の物流コスト上昇は処理量の上昇
2007年3月22日
みなさんの会社では、物流コストの責任者は誰だろうか。物流活動を管理する「物流部」がある会社ならば、物流コストは物流部が責任を持つことになっている場合が多いだろう。しかしご承知のとおり、物流コストは物流部の力だけでは、なかなか、下げることができない。物流コストを下げろ、下げろといわれながら、一方で手間のかかる作業がどんどん付加されてくる、注文が細かくなって出荷の作業量が確実に増えている。コスト低減のためにあらゆる努力はしているが、効果は限られており、コストは抗い難く上昇していく。こんな悩みは、多くの物流部に共通するものである。
物流ABCでは物流コストを「単価×処理量」に分解する。コストをこのように分解したうえで物流コストの上昇という問題をとらえると、上記の悩みの本質が見えてくる。すなわち、物流管理部門がとりうる物流コスト低減策は単価の低減という範囲に限られているが、近年の物流コスト上昇は、主として、処理量の増加によるものなのである。
処理量の増加が売上の増加に裏づけされたものであれば、問題ない。問題になるのは売上が伸びないのに処理量だけが増えてしまう場合である。前回も説明したように、同じ売上でも注文が細かくなれば、ピッキングの行数が増えるのに対応して出荷コストは上がる。さらに、「棚別に仕分けて」「1個ずつ包装して」「値札を貼って」というように付帯的な作業を伴う物流サービスを求められるならば、これらの作業に対応するアクティビティの処理量は、売上に関係なく増加することになる。返品処理の増加も、売上に関係なく物流コストを増やす要因となる。この記事へのコメント
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筆者紹介
湯浅 和夫
株式会社湯浅コンサルティング 代表取締役
1946年 埼玉県生まれ
1969年 早稲田大学第一商学部卒業
1971年 同大学大学院商学研究科修士課程修了
1971年 日通総合研究所入社
1996年 同社経営コンサルティング部長
1999年 同社取締役
2001年 同社常務取締役
2004年 3月、同社を退職
2004年 4月、株式会社湯浅コンサルティングを設立し、代表取締役に就任。現在に至る。 -
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