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ブログ・湯浅 和夫
第29回: 顧客別の採算管理
2007年3月22日
表は、ある食品卸の物流センターでの顧客別物流コスト計算結果です。このセンターの取扱品は常温の加工食品のみで、主要な出荷先は、スーパーやディスカウントストアなどの量販店チェーン、コスト算定期間は2週間です。アクティビティはこれで全部ではなく、特に顧客別の物流サービスの違いを明確に示すものを抜き出してあります。
表の左列に並んでいるセンター全体のアクティビティ単価は、ある年の6月に算定したものです。ちなみに、6月を選んだのは、この月の入出荷量と業務内容が、年間の波動の中でおよそ、このセンターの平均的な状態であるからです。センターの固定費があるため、アクティビティ単価を毎月計算した場合、繁忙月に計算すると低めになり、閑散月には高くなるのが普通です。
したがって顧客別の採算を正確に出すためには、アクティビティ単価を毎月算定し直すことが必要になります。毎月算定するにはそれなりの負荷がかかりますので、これを回避する簡便法として、平均的な月の単価を求め、この単価を波動が一巡する間、例えば半年なら半年間固定して使用するというやり方があります。
半年間を通算すれば正しいコストと採算をつかむことができますし、月々のコスト計算で生ずる誤差はすべての顧客について同じ条件で発生するので、社内管理的に状況を把握したり、顧客間の比較をしたりするうえでは全く問題ありません。このセンターでは簡便法を採用することにしたのです。この記事へのコメント
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筆者紹介
湯浅 和夫
株式会社湯浅コンサルティング 代表取締役
1946年 埼玉県生まれ
1969年 早稲田大学第一商学部卒業
1971年 同大学大学院商学研究科修士課程修了
1971年 日通総合研究所入社
1996年 同社経営コンサルティング部長
1999年 同社取締役
2001年 同社常務取締役
2004年 3月、同社を退職
2004年 4月、株式会社湯浅コンサルティングを設立し、代表取締役に就任。現在に至る。 -
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