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ブログ・青木 正一
第87回:「荷主はわかっていない」
2007年5月17日
最近、私が対応する荷主企業の改善依頼や相談事には1つの共通点がある。
それは支払い物流費の削減に限界が来ているということを理解している荷主が、次のステップとして外注化、アウトソーシングを行う業務の範囲と、その業務内容をよく理解していないということである。
1つ言えることは、支払い物流費の削減に限界が来ている荷主は、物流企業とパートナーシップを図り、物流企業にもメリットや旨味のある業務の出し方を進めなければならないということである。
ある素材メーカーでは常に安価な車両を探し続け、いまでは43社の物流会社と取引を行っている。その結果、支払い物流費が分散してしまい、メーン物流会社が不在となっていた。これでは緊急対応や柔軟な対応、改善提案などを物流会社から受けることは期待できない。
また、競争意識、集中を避ける目的で、同一配送エリアに何社もの物流会社と取引しているため、反対に輸送効率が悪くなってしまっていた。
更に各物流会社の業務内容を理解していないため、ある物流会社のベースカーゴがあるエリアにもかかわらず、わざわざ別の会社を仕立てたりしていた。
一方、外資系メーカーの例では、倉庫会社に製品保管を依頼しているにもかかわらず、自社で配車を行っているため、倉庫会社は保管料、入・出庫料のみの収入しか売り上げが立たない状況となっていた。
一般的に、配車業務を物流会社に委託し、その物流会社のベースカーゴと積み合わせが可能であれば、物流会社は利益が出せるし、荷主企業側も更なるコストダウンにつながる場合がある。しかし、これらの中身までは荷主は理解していない。
いま一度、既存荷主に対して、改めて提案、いわゆる自社への業務の出し方というものを、しっかりと説明をする必要があるのではないだろうか。
お互いのメリットのために。パートナーシップづくりのために。そして利益を出すために。 -
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筆者紹介
青木 正一
株式会社日本ロジファクトリー
1964年11月13日生まれ、京都産業大学経済学部卒。
学生時代に数々のベンチャービジネスを行い、卒業後、ドライバーとして大阪佐川急便入社。1989年株式会社船井総合研究所入社。物流開発チーム・トラックチームチーフを経て、コンサルティングでは対応できない顧客からの要望を事業化するという主旨で1996年“荷主企業と物流企業の温度差をなくす物流バンク”をコンセプトに、物流新業態企業「日本ロジファクトリー」を設立。代表取締役に就任。
主な事業内容として「現場改善実務コンサルティング」「物流専門人材紹介(ロジキャリアバンク)」「物流情報システム構築サポート(ロジシステムデザイン)」を行なっている。
また、物流業界におけるコンサルタントの養成、人材の採用、育成、M&Aといったプロデュース業務も手掛けている。
最近では、産業再生機構からの要請を受けるなど、「物流再生」に力を入れている。 -
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