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ブログ・野口 誠一
第137回:再起の群像 夜逃げは世逃げ
2007年7月12日
私は常々、「夜逃げは世逃げである」と言っている。夜逃げして八起会を頼ってくる経営者もいるが、私は彼らに「戻る」ことを勧めている。戻って債権者に頭を下げ、法的整理をもって解決をはかれば、少なくともゼロからの再出発は可能だからである。それを逃げたままでは、いつまでも債務は消えないし、ヘタをすれば一生逃げ続けなければならない。それではゼロどころか、マイナスの人生であろう。
実際、夜逃げしたばっかりにその後、悲惨な人生を送っているケースは枚挙にいとまない。住民票も健康保険もなく、運転免許証の更新もできないような状態で、まともな仕事や生活ができるはずもないのである。
そんなリスクを背負ってまで夜逃げしたいと思う動機は、「債権者が怖い」「親類や世間に顔向けできない」「新しいところで、もう1度やりなおしたい」などであろうが、どこへ逃げても債権者は夢の中まで追ってくる。のみならず、債権者に似た顔に出会えばハッと胸を衝かれ、他人に声を掛けられれば飛び上がらんばかりに驚く。それが夜逃げ人生である。
今回から、そんな夜逃げ地獄をのたうちまわりながらも、奇跡的に再起を果たしたわが会員の実例を紹介しよう。
Nさん(京都)は28歳のとき、父親の急逝で会社の経営を引き継いだ。タイル製造業である。大学を出てすぐ父親の会社に入り、数年経っていたが、経営にはまだノータッチだった。それだけに、父親の経営内容を知ったときは愕然となった。なんと、月商の30倍もの借金があり、なかには街金融からの借金も少なからず含まれていた。つまり、Nさんの経営ははじめから倒産状態にあったのである。 -
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筆者紹介
野口 誠一
八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。 わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。
HP:https://yaokikai.com -
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