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ブログ・野口 誠一
第166回:ITビジネスに光明
2008年4月25日
Kさんは梱包機メーカーに3年、世話になった。その間、ニュービジネスのアイデアとコンセプトを練り上げ、ひそかに事業化のチャンスをうかがっていた。そのニュービジネスとは、販売情報をコンピューター処理してシステム化するデータベース・マーケティングである。
当時はコンピューターが、それほど普及していなかったこともあって、松下電器のいづみ会も資生堂の花椿会も、顧客情報はすべて手書きだった。手書きのカードや台帳を繰って顧客情報を検索していたのである。
そのデータをコンピューターに入れてシステムを組めば簡単、迅速、正確に検索できるはずだ。Kさんはそこに目をつけたのである。
このデータベース・マーケティングは今でこそ当たり前だが、当時は極めつけのニュービジネスであり、Kさんはその草分けと言っていい。
彼がその発想にいたったのは、サラリーマン時代にコンピューターにかかわっていたからである。日本事務器はNECが初めて開発した国産のコンピューターの代理店であり、彼はその販売を通じてコンピューターに精通していったのである。
こうしてKさんがニュービジネスのアイデアをあたためていたところへ、また「お助けマン」が現れた。
ある日、日本事務器時代のユーザーにばったり出くわし、話のついでにデータベース・マーケティングについて語ったところ、即座に「それはビジネスになる。クライアントも助かる。ついてはうってつけの人を紹介しよう」という。
そして紹介されたのが、日本有数の家電メーカーA社の系列販売店(2万4000チェーン)の頂点に立つY社長である。Y社長も即座にデータベースに興味を示してくれ、「ぜひソフトをつくってくれ。2万4000店にはめこもう」と言ってくれた。 -
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筆者紹介
野口 誠一
八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。 わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。
HP:https://yaokikai.com -
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