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ブログ・野口 誠一
第213回:社長採点の手紙
2009年3月27日
八起会に「倒産の原因ワーストテン」がある。これは会員(500人)に「あなたはなぜ倒産したと思いますか」というアンケート調査を行い、その結果を分析したものである。
私はこの「ワーストテン」を著述や講演などで常に紹介し、中小企業の経営者に「自己採点」を呼びかけている。というのも、この「ワーストテン」は将来の倒産の有無を占う絶好のリトマス試験紙であり、経営者には常にそのリトマス試験紙で「自分の位置」を確認しておいてもらいたいからである。
ある日、一読者から実に面白い手紙をいただいた。それは、私がある本の中で紹介した「ワーストテン」に従って、自分の社長を採点したものだった。
手紙の主は名古屋市のEさん(42歳)である。Eさんは4年前に現在の会社にスカウトされ、いまは経営企画室の責任者、いわば社長の片腕である。
Eさんの会社は電気・精密メーカーを得意先とする加工・組み立て関連で創業50年、現在の社長は2代目。社員は200余人、子会社も一社かかえる中堅どころだが、バブル崩壊と長引く不況で受注が激減、そのあおりで子会社の工場は閉鎖され、51歳以上の女子社員はすべて解雇された。
かかる事態に対して、Eさんは次のように書いてあった。
「このような事態を招いた責任は、冷静な目で見て(私自身、社長に可愛がられており、そのようなことを考慮しても)社長にあると痛感せざるを得ません。20年、30年勤続の取締役・重役も数人いますが、彼らも社長にはすっかり手を焼いております。定年も間近とあって、あきらめの感も見受けられますが、業務上の問題よりも社長の一挙手一投足に頭を抱えているのが現状です」
次回からEさんの「社長採点」を詳しく紹介しよう。この記事へのコメント
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筆者紹介
野口 誠一
八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。 わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。
HP:https://yaokikai.com -
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