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ブログ・高橋 久美子
第47回:小さな運送会社と荷主との驚くべき関係
2011年1月5日
先日、ある運送会社にお伺いする機会がありました。3トントラック5台、軽自動車8台の小さな運送会社です。一般貨物と軽貨物のほかに、ドライバー派遣もしているそうです。創業から8年。無借金経営で、軽1台から始めて、少しづつ堅実に、車両を増やしてきたのだそうです。社長は30代の創業社長です。
私も、まったく同じ状態から運送会社をはじめているので、この社長の今までに、どんな苦労があったのかは話を聞くだけで、容易に想像ができました。
スタッフは20代から60代まで20名弱。車両は決して新しくはありませんでしたが、きれいに洗車してありました。プレハブの小さな事務所の壁には、「今週の燃費王」とか「あいさつ週間」と書かれた紙が貼られていて、小さなことにも忠実に取り組んでいる、真面目な姿が見てとれました。
「今は、まだ小さい運送会社ですが、いずれ車両をもっと増やして、この近くの土地に、大きな事務所と倉庫を持ちたいんですよ。地方から出てきた人も雇い入れできるように、社員寮も作りたいんですよね。大きな家族を作りたいっていうか・・・。小学校の頃からよく家出をしていたので、その反動で今になって家族が欲しいのかもしれないですね。おかしいですよね」。30代のその社長は、目を輝かせて笑いながら夢を話してくれました。
ちょうどそんな話をしていた時、1本の電話が入りました。現場に出ていたドライバーからでした。今日は、全員現場に出てしまっていたので、社長しか事務所にいません。すると、受話器をとり、電話に出た社長の顔が、見る見る曇っていきました・・・。「何か、トラブルですか?」、私は、事情によっては帰った方が良いだろうと思い、そう聞きました。「あぁ、はい。ちょっと聞いてもらえますか?」。さっきまで、わくわくして夢を話してくれていた彼の顔は、一瞬で暗く、険しい顔になっていました。
彼は、悔しさをかみ締めるように下を向いて、左手の握りこぶしを、指の関節が真っ白になるくらいに堅く握っていました。悔しさに、少し震えているように見えました。さっきの電話のトラブルと、それに関連する今までの事、ある荷主との関係についてを、ゆっくり順を追って、話してくれました。その話を聞いて、私も本当に悔しくて悲しい気持ちになりました。
あなたは荷主担当者と、どんな関係にありますか?「信頼できるパートナー」でしょうか。「プロとして、お互いが良くなるために協力し合う仲間」でしょうか。それとも・・・?もしかしたら、私が思っている以上に「決定的な主従関係」を強いられている運送会社は、まだまだ多いのかもしれません。ちょっと長くなってしまったので、次回、この運送会社と荷主との「驚くべき関係」と、これを聞いて私がした、ある「決意」を皆さんにお伝えしたいと思います。
全国中小規模運送会社・経営改善推進委員会代表 高橋久美子
http://www.handlecover.com/kaizen/この記事へのコメント
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筆者紹介
高橋 久美子
あなたの会社が儲かっていない本当の理由
規制緩和により、夢大きく独立開業した運送会社の社長たち。その社長さんたちが、規制緩和後の業界環境の変化により、今、とても厳しい状況に立たされています。経営不振の影響によるメンテナンスの不備も懸念され、それが引き起こす悲惨な交通事故も、連日ニュースで報道されています。このような危機的状況を受け、中小規模運送会社の根本的な経営改善と救済を目的として発足したのが、私たち「全国中小規模運送会社 経営改善推進委員会」です。
全国中小規模運送会社 経営改善推進委員会 -
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