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ブログ・野口 誠一
第343回:9年で23億円の借金
2012年3月5日
Nさんの体験発表はなおも続く。
──私は6億円の金利負担がいかに重いものか、イヤというほど思い知らされました。といって、街金融が金利を軽減してくれるわけもありません。私は月々の金利を払うために、さらに借金を重ねなければなりませんでした。それも怖い、憎いと思っている街金融からです。何の担保もないアパート暮らしの私に、普通の金融機関が融資してくれるはずもないのですから、仕方がなかったのです。こうして私は金利地獄に足をすくわれ、ますます深みにはまっていきました。
毎月、毎月、赤字と借金だけが積み重なっていくにもかかわらず、私はなおも「なんとかなる」というアバウト経営と、「もう少し売り上げが伸びれば」「もう少し利益が増えたら」というレバ・タラ経営にしがみついていました。が、そんな私のかすかな望みも、ついに断たれるときがやってきました。バブルがはじけてしまったのです。
これで売り上げがガクンと落ち、3割もダウンしてしまいました。年商10億円でもやりくりできないのに、7億円ではどうにもなりません。それでも手形はまわってくるし、金利返済日も確実にめぐってきます。自転車操業とわかっていても、私はペダルを踏み続けるしかありませんでした。そして駆け込む先は街金融です。借りられるところならどこへでもと、だんだん危険水域に入っていきました。
資金繰り地獄の日々に、今度は本当の地獄が訪れました。平成7年の阪神大震災です。これで売り上げが完全にストップしてしまいました。私の経営はわずか9年間ですが、その間に借金は積もり積もって23億円に達していました。私は経営というよりも、借金を増やしたにすぎなかったのです。この記事へのコメント
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筆者紹介
野口 誠一
八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。 わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。
HP:https://yaokikai.com -
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