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ブログ・野口 誠一
第359回:「裸の王様」から脱却
2012年5月7日
Mさんのすばらしいところは、素直に他人の意見に耳を傾けるだけでなく、約束したことを守る、納得したことを実行する、そしてその報告も怠らないという律儀さにある。以下はMさんの報告である。
──会長がおっしゃったように、先にリストラした二人はやはり会社のガンでした。たしかに売上高は大きいのですが、それが利益に結びついていないことがわかったのです。二人が稼ぎ出す利益よりも、二人にかかる諸経費(給与、車、事務費など)のほうが大きいのです。不思議に思って調べたところ、二人が売り上げを増やすために勝手に値引きしたり、自分の裁量で商品を仕入れていたことがわかりました。それらの商品は当然ながら売れ残り、その見切り損が大きいのです。
さらに悪いことに、二人はその「残し」をほかの社員にセールスさせていました。これではほかの社員の売上高が伸びるわけもなく、二人との差は開く一方です。ほかの社員は面白かろうはずもないし、不満もつのっていたのですが、私はそれに気付きもせず、二人を増長させていたのです。
私はいつも金策に追われていましたから、どうしても売上高に目がいってしまいます。それが二人を高く評価することになり、二人がほかの社員をアゴでつかっていても、大目に見ていたのです。そんな私に、ほかの社員が告げ口をするはずもありません。私はすっかり裸の王様で、ほかの社員の不満に気付きもしませんでした。
しかしいまは違います。二人のガンを切ったことで、私の株まで上がりました。社内の風通しがよくなり、全社員が力を発揮できる体制が出来上がりました。これもすべて会長のおかげです。会長の眼力には、本当に恐れ入ります。この記事へのコメント
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筆者紹介
野口 誠一
八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。 わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。
HP:https://yaokikai.com -
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