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ブログ・野口 誠一
第375回:大いなる反省を
2012年8月27日
倒産は得意先、仕入れ先、金融機関など、取引関係からNOを突きつけられたことを意味します。もっと言えば、企業社会から退場命令を受けたことを意味します。その命令は骨身にこたえます。「経営者失格」のレッテルを貼られ、裸同然で世に放り出されるようなものなのです。その悲哀と悔しさはおそらく、倒産を経験した者でないとわからないでしょう。
その半面、大いなる反省も要します。倒産の悲劇は経営者一人だけにとどまらないからです。一歩間違えば家族を路頭に迷わせ、社員・従業員の人生を狂わせ、債権者に多大の損失を負わせ、ヘタをすれば連鎖倒産すら招きかねません。幸い私の場合、そこまで余波は広がりませんでしたが、倒産後1、2年は債権者の目が怖く、おびえる日々が続きました。いくら裁判所を通じて法的整理をし、免責も下りたと言っても、倒産者の心から「債権者に迷惑をかけた」という思いは消えないのです。
そんな倒産者の孤独をいやしてくれるのが八起会です。仲間がいる、話し相手がいるということは、倒産者にとって何よりもありがたいことです。私も八起会とみなさんに救われた一人です。ありがとうございます。
私は現在、雇われマダムのような取締役として経営に参画しています。その現場で自分の経験を生かし、次のチャンスのために経営の予行練習をしています。幸い周りの支援や協力もあって、少しずつ自分自身を取り戻しつつありますが、ときとして倒産のトラウマがフラッシュ・バックすることもあります。会長に「体験発表を」と言われたときも、一瞬躊躇しましたが、この際自分の恥をすべてさらけ出し、倒産トラウマを克服しようと思い立ち、引き受けた次第です。ご清聴ありがとうございました。この記事へのコメント
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筆者紹介
野口 誠一
八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。 わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。
HP:https://yaokikai.com -
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