-
ブログ・野口 誠一
第386回:指名解雇に踏み切る
2012年11月12日
(Aさんが15年間も労組と闘い続けられたのは、今に必ず解散させてみせる、身内同士の争いに終止符を打ってみせる、という思いが強かったからである)
──毎年、最低3回の労使交渉が行われました。春闘と夏、冬のボーナス交渉です。そのたびに組合員は「闘争」と書いた鉢巻きをしてストライキを打ち、会社の門を閉めてピケを張り、私以外の者は誰一人出入りさせませんでした。その悔しさ、情けなさは言葉になりません。私は「いまに見ていろ。必ずお前らをロックアウトしてやる。解散に追い込んでやる」と、何度も自分に言い聞かせ、怒りと屈辱に耐えたものです。
しかし、労組を解散させるためには財務を強化し、経営を安定させ、経営者の発言力を高めるしかありません。私もそこへ向かってずいぶん努力したのですが、昭和63年、またピンチに見舞われてしまいます。
このままでは来年の資金ショート、二度目の倒産の危機が明白になったのです。一度倒産の危機を経験すると、そういう計算が異常に速く、的確になるのです。
私は早々に手を打ちました。72人の組合員に対して、18人の希望退職を募集しました。しかし、一人の応募もありません。やむなく2回目の募集をかけたところ、やっと二人が名乗り出ました。が、18人には遠く及びません。そこで3回目として組合側に対し、「指名解雇に踏み切る」と通告しました。
さあ、そこからが大変です。すぐさま上部団体が乗り込んできて、「指名解雇するなら、その前にこの会社をぶっ潰してやる」とすごむではありませんか。私もついにハラをくくりました。この記事へのコメント
-
-
-
-
筆者紹介
野口 誠一
八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。 わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。
HP:https://yaokikai.com -
「ブログ・野口 誠一」の 月別記事一覧
-
「ブログ・野口 誠一」の新着記事
-
物流メルマガ