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ブログ・船井総研ロジ
第131回:ネット通販会社が抱える課題
2012年2月21日
通販業界の市場規模の拡大、中でもネット通販市場の急激な成長については既述のとおりですが、市場の拡大に反して、個々のネットショップを見てみると、なかなか利益が残らないという大きな課題にも直面しています。
その要因として、新規顧客獲得費用の上昇や売上高対物流費比率の上昇といった問題点が上げられます。どちらにも共通して言えることは、ネット通販市場の急速な拡大に伴い、急激にネットショップが乱立し、競合企業が激増した結果です。
競合企業との新規客の取り合いで、年々広告の反響率が下がってきており、新規顧客獲得費用が上昇しているのです。その背景には、ネット通販は非常にリピート率が低く、常に新規客を開拓し続けないといけない状態である、ということも挙げられます。
また、差別化を図り、他社より多くの商品ラインナップを持とうと、アイテム点数を増やした結果、在庫管理費等が今まで以上にかかり、物流費比率も上昇しています。1990年には5.6%だった売上高対物流費比率ですが、95年:6.7% ⇒ 2010年:7.7% ⇒ 10年:11.8%と年々その比率は右肩上がりです。
つまり、以上の2点を見ただけでも、中小ネットショップは売っても売ってもなかなか手元にお金が残らない、という状態に陥っているのです。そのため、今までは売上重視でコストには無頓着な経営者が多かったのですが、去年あたりから物流費をはじめ、コスト面を見直していかにして利益を残すか、という意識の方が増えてきました。
そういった意味でも、ネット通販市場の物流アウトソーシング需要は今後ますます増えてくるでしょう。ちなみに、通販会社の物流費の管理指標として、(1)1出荷作業あたり物流費(物流費/出荷件数)と(2)売上高物流費比率(物流費/売上高)の2つを抑えておくことが重要です。
(株式会社船井総合研究所・河内谷庸高)
☆船井総研が運営する環境ビジネス情報サイト「eco-webnet.com」
※記事は11年3月の記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。この記事へのコメント
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