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ブログ・馬場 栄
第70回:退職時のルール決め
2016年1月14日
退職時は社員とのトラブルが多い場面の一つです。働いている時は何もなくても、辞める時は在社時に比べて言いたいことも言いやすく、トラブルが起こることが実に多いのです。雇用契約を解消する退職には様々なトラブルが潜んでおり、会社として退職時のルールを決めておくことで未然に防ぐことができるものもあります。会社で最低限、次のルールを周知させ、確実に守ってもらうようにしましょう。
まず、自己都合退職の場合、退職予定日の何日前までに退職を申し出るかを定めることです。民法では、社員からの退職の申し出は退職希望日の2週間前までに行えばよいことになっています。しかし、退職までに業務の引き継ぎなどを終えることを考えると、2週間前では慌ただしくなってしまい、引き継ぎもままなりません。そこで、会社独自で退職を申し出る日の期限を定めておくようにします。遅くとも退職希望日の1か月前には退職を申し出てもらうようにルール決めすることが現実的でしょう。
次に、退職届を必ず提出するように定めます。退職届は社員の退職の意思を表す重要な書類です。どのような事由の退職であろうと、必ず提出してもらうようにしましょう。もし、口頭のみで自己都合退職の申し出を受け付けた場合、元社員が退職後に「自己都合ではなく、事実上の解雇だった」と言い張ればトラブルとなってしまいます。しかし、社員からの退職の意思を示す退職届があれば、会社もあくまで本人の意思による退職だったと反証ができます。本人が書いたことを示すためにも、退職届は手書きで書いてもらうことをおすすめします。もしくは会社の作った退職届のひな形に、退職日、氏名、提出日を自署で入れて印鑑を押してもらうようにしましょう。
このように、退職時のトラブルに対応するためにも、まずは会社でのルール決めを行うことが重要となります。そして、ルールを決めたら就業規則にしっかり記載しておくことも忘れないようにしましょう。
(保険サービスシステム株式会社・社会保険労務士・馬場栄) -
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筆者紹介
馬場 栄
保険サービスシステム株式会社 社会保険労務士
年間約300社の経営者の相談・アドバイスを行っている。中小企業の就業規則や残業代など、幅広い労務管理のアドバイスに高い評価を得ている。 -
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